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第120話

Author: 一匹の金魚
自分のどんなことも、萌寧に比べたら重要じゃないのだ。

富子は真衣のことを見て、「さっき礼央に電話したと思うけど、礼央はなんて言ってた?」

真衣は軽く唇を噛んだ。「今は忙しいと言っていました」

成也は冷ややかに笑った。「いくらでもお金を稼げるのに、こんな大事な日なのに忙しいだと?」

真衣は何も言わなかった。

礼央は忙しいわけじゃない。

ただ、自分は礼央の心の中で取るに足らない存在なだけだ。

正確に言えば、自分は一度も礼央の眼中にいなかったのだ。

富子は顔色を悪くし、修司からの厳しい叱責に対して、真衣はかばうような言葉を口にした。

真衣はまた礼央に電話をかけた。

しかし今度は電話すら繋がらなかった。

富子の顔色はさらに悪くなった。

法要が間も無く始まろうとする時。

景司が来たのだ。

「こんな大事な日なのに、なんで誰も私に知らせないんだ?」

慧美の表情は一瞬で崩れた。

真衣は景司を見て、冷たく眉をひそめ、慧美の前に立ちはだかった。「誰もあなたを歓迎していないわ」

景司が招かれざる客として来たのは、もちろん慧美の会社であるフライングテクノロジーのことが気がかり
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Comments (4)
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侑眞
修司おじさんがいい人すぎて、想像したらうちもちょっとうるっとした
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侑眞
修司おじさんがいい人すぎて、想像したらうちもちょっとうるっとした
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長野美智代
真衣さんの父親が萌寧の母親と不倫して、クズ夫も萌寧と不倫。母娘似た者親子で権力を手に真衣さん達を窮地に追い込もうとするなんて反吐が出る。 実の父親が真衣さんに離婚しろと言うなんてどうなんですか。
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