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無垢を求めた夫と、離婚を決意しました
無垢を求めた夫と、離婚を決意しました
Penulis: ハルイケ

第1話

Penulis: ハルイケ
ある荷物をきっかけに、私は諒を疑い始めた。

それは、彼が買ったばかりのメンズ香水だった。

出会ってから7年。一度だって、彼が香水をつけているところを見たことはない。

私はその香水を手にしたまま、しばらく立ち尽くしていた。

「最近暑くて汗をかくだろ。ゼミで学生と会うとき、少し気になってな」

諒はそう言って、何でもないことのように、私の手から香水を受け取った。

「そうだ、澪。夕飯はもう作ってあるから、先に食べていてくれ。今夜は研究で遅くなるし、帰れないかもしれない」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に小さな棘が刺さったような気がした。

夜遅くまで学校に残ると言うのは、これでもう5回目だった。

嫌な予感を振り払えないまま、私は寝室へ戻り、諒のラインを開いた。

彼のアカウントはパソコンにログインしたままだ。きっと、ログアウトし忘れたのだろう。

トーク一覧を下へスクロールしていく。なぜか、その名前にだけ目が留まった。

法学部4年生の天野ひなた(あまの ひなた)。

背筋がひやりとした。震える指で、そのトークを開く。

残されていたやり取りは、たった2件だけだった。

一件目は、彼女からのメッセージ。

【牧野先生、今夜も7時に校門に来てくださいね。新しく焼き肉のお店ができたんですけど、先生と一緒に食べに行ってみたくて】

返信は、たった一言のようにそっけなかった。

【7時に着くよ。試しに食べてみようか】

それ以前の履歴は、ひとつ残らず消されていた。諒は毎日、欠かさずトーク履歴を消していたのかもしれない。

ひなたのインスタを開く。昨夜投稿された写真が目に入った。

街灯の下に伸びた2つの影。背の高い影と、低い影。男と女。その男の影を、私は見間違えるはずがなかった。

添えられた言葉は、こうだった。

【今日、彼に告白した。彼は受け入れてもくれないし、ちゃんと断ってもくれなかった。私がまだ若いから、私のことを縛りたくないんだって。でも、先生は私の勇気を甘く見ている。

牧野先生、もう一度告白します。拒否は禁止!絶対にOKしてくださいね!】

その投稿は、どう見ても諒に向けたものだった。

昨日、彼は同窓会に行くと言っていたのに。

さらにスクロールすると、彼女自身の写真が目に入った。目元が私によく似た、綺麗な女の子だった。

閉じようとした、そのとき。

彼女のフィードに、新しい投稿が追加された。

【これが私のファーストキス。牧野先生、ちゃんと最後まで責任取ってくださいね~】

写真はない。

たったそれだけの言葉なのに、心を鋭く抉られたようだった。息が詰まり、胸の奥がきりきりと痛んだ。

信じたくない。けれど、確かめずにはいられない。震える指で、諒に電話をかけた。

相手はすぐに出た。

「どうした、澪?」

私は声が震えないよう、必死に平静を装う。

「ううん、なんでもない。もう終わったのかなって思っただけ」

「まだ終わらないよ。今夜はチームで徹夜になりそうだから、帰れない。澪は待たなくていいよ。眠くなったら先に寝ていて」

「うん」

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