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第94話

Author: 清水雪代
悠人は彼女の視線を引き寄せ、智美の心臓の鼓動が自然と速くなった。

ちょうど腰を上げようとしたとき、静かに横たわっていた悠人が、何の前触れもなくぽつりと口を開いた。

「……水が、飲みたい」

低く少し掠れた声。目は閉じられたままで、まるで夢の中で呟いているようだった。

智美は一瞬きょとんとしたが、すぐに身をかがめて肩を軽く叩き、そっと彼の手を外した。

そして台所へ向かい、酔い覚ましのスープを作った。

椀を持って戻ると、悠人の口元へゆっくりと運び、全部飲ませた。

終えると、立ち上がって帰る支度をした。

そのとき、足元でじっとしていた団子が急に落ち着きを失い、彼女の足にぴたりとついて離れなくなった。

まん丸な瞳に、名残惜しさと甘える気持ちがにじんでいる。

その様子に気づくと智美はゆっくりしゃがみ込み、柔らかい毛並みの小さな頭を撫でた。

団子は気持ちよさそうにその温もりを受け入れ、ときおり鼻先で彼女の手のひらをつついた。

「いい子だよ、団子。寂しがらないで。今度また会いに来るからね」

そう告げ、耳をつまんで軽く揺らし、別れを告げた。

静まり返った部屋で、悠人のまつ毛が
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