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第96話

Author: 花朔
「ありがとうございます、井手社長」

彩は笑顔でグラスを掲げた。

文翔もグラスを持ち上げ、ひと口飲んだ。

「私から言わせてもらうと、竹内さんは本当にすごいよ。若くしてあれだけ話題になる展覧会を次々と企画してるなんて、まさに業界の模範ですね!」

「聞いたところによると、竹内さんは長沢社長と同じ大学の出身だとか?あそこは世界トップクラスの名門大学だし、もう完全に神レベルの人物じゃないですか!」

「ありがとうございます」

彩は控えめに笑い、それから文翔を見た。

「私は長沢社長と同い年なんですが、長沢社長は私より一年も早くすべての課程を修了されたんです。ずっと私の目標であり、追いかけるべき存在なんです」

同じくらい優秀な人同士が頂点で出会う、それはまさしくロマンチックな物語だった。

その場にいた誰もが、文翔と彩がまさにお似合いだと感じた。

おそらく、彩ほど優秀な人でなければ、文翔のパートナーとしてふさわしくはないだろうと。

だから皆、文翔の機嫌を取るために、彩を持ち上げた。

「竹内さんも負けず劣らず素晴らしい方ですからね。長沢社長とは本当に理想的なカップルですよ!」

「まったくだ!」

「ところで、聞いたんですが、竹内さんは次にまた花芸をテーマにした展覧会を企画しているとか?その方向性について、少しだけ教えてもらえませんか?」

誰かが好奇心から尋ねると、珠緒も興味津々で耳を傾けた。

花芸と言えば、自分たちのスタジオともぴったりのジャンルだ。

もし今後も彩や長沢グループと提携できれば、スタジオにとって大きな飛躍となる。

「それなんですけど......」

彩は小林を見て、微笑んだ。

「私、個人的に花芸にとても興味があるんですが、これまでどうやって始めたらいいのか分からなくて。だから来月、小林先生のご予定をお聞きして、ご指導いただけたら......と考えているんです」

その言葉を聞いた瞬間、珠緒の表情が変わった。

なぜなら、彼女がようやくの思いで小林の来月のスケジュールを抑えたばかりだったのに、彩は何食わぬ顔でそれを横取りしようとしていたからだ。

しかも、彩は自分がうっかり漏らした情報を元に、そのスケジュールが空いていると知ったに違いない。

これはどう見ても、利用し終わった相手を切り捨てるようなやり口だった。

珠緒の指先がぎゅっと握り
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