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第690話

ザクロ姫
そして病室にいた人たちは、香織の言葉で、一斉に健吾の方を向いた。

その視線には、からかいと呆れが入り混じっているようだったから、

プライドが働いて、健吾はまた男性のヘルパーを呼んで食べさせてもらおうかと思った。

しかし、杏奈のキラキラした瞳と目が合うと、言おうとしていた言葉をぐっと飲み込んだ。

そして周りの視線に耐えながら、彼は観念したように食事を続けた。

この状況では彼にとって、とりあえず食事が美味しかったのがせめてもの救いだった。

それを見た杏奈は、そんな健吾の様子がおかしくてたまらなかった。

記憶をなくした健吾は、なんだかとても可愛らしく思えたから。

午後になり、結愛が隣のベビーベッドで昼寝をしていると、杏奈は検査へと向かった。

それに香織が付き添って行った。

すると、茂と豪は病室に残り、ようやく健吾と三人きりで話す時間ができた。

健吾はうとうとしていたが、二人の突き刺さるような視線に、はっと目が覚めた。

彼は茂と豪の顔を順に見ると、冷たく言い放った。

「何の用ですか」

片方が自分の父親で、もう一人が杏奈の兄だとは分かっている。

それでも、健吾は目の
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