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第3話

Author: ルルル
璃羽の姿を目にしても、華苑は微塵も驚いた様子を見せず、ただ冷ややかな笑みを浮かべて挑発するように片眉を上げた。

彼女の後ろに控える取り巻きの友人たちが、あからさまな嘲笑の口調で口火を切る。

「あら、今日は厄日かしら。どうしてこんなところで、こんな疫病神みたいな女と鉢合わせしなきゃいけないのよ」

「ねえ華苑、この邸宅、あなたが気に入ってるって言ってなかった?どうしてこの女がここにいるわけ?」

その険悪な空気を察し、健太が自ら進み出て華苑に説明した。

「華苑様、この邸宅はすでに社長が買い上げ、璃羽様に贈られたものです」

その言葉を聞いた瞬間、華苑の顔色が一変した。

ゾッとするほど冷酷な光を瞳に宿すと、華苑はバッグからスマートフォンを取り出し、皆の目の前で見せつけるように蒼蓮へと電話をかけた。

電話が繋がった途端、彼女の表情はまたたく間に晴れやかになった。すぐにスピーカーフォンに切り替えると、スマートフォンを璃羽の目の前へと突き出し、勝ち誇ったように笑った。

「蒼蓮本人の口から、直接聞いたら?」

璃羽が押し黙ったままでいると、電話の向こうの蒼蓮はほんの少し沈黙した後、淡々と告げた。

「この家は華苑に譲ってやってくれ。お前には、また別の家を買ってやるから」

璃羽は自分の耳を疑った。突きつけられた現実をどうしても認めたくなくて、すがるような執着を込めて問い返した。

「……私が、どうしてもこの家がいいって言ったら?」

スピーカー越しに響く蒼蓮の声は、残酷なほどに冷ややかだった。

「璃羽、同じことを二度も言わせるな」

通話は一方的に切られた。その瞬間、リビングにいた取り巻きたちが爆笑した。

「笑っちゃう!ほんと惨めね。私だったら恥ずかしくて、二度と人の前に顔なんて出せないわ」

「どこまで往生際が悪いのよ。蒼蓮さんに条件をつけるなんて身の程知らずにもほどがあるわ。昔から華苑が欲しがるものなら、蒼蓮さんは何としてでも手に入れて彼女に捧げてきたっていうのにね」

「ねえ璃羽、あんた一体何のつもりで華苑と張り合ってるわけ?雑草がどれだけ背伸びしたって、華やかな薔薇にはなれない」

璃羽は顔から火が出るほどの屈辱に顔を真っ赤に染め、一言も返せないまま、行く手を塞ぐ女たちを押し退けてその場を立ち去ろうとした。

だが、その連中が彼女をそう簡単に帰すはずもなかった。一人の女が璃羽の袖をぐいと掴み、容赦なく詰め寄ってくる。

「ちょっと、リビングの床を汚しておいて、このまま逃げるつもり?ねえ華苑、床に這いつくばってピカピカに磨かせてから追い出すべきじゃない?じゃなきゃ、不法侵入で警察に突き出しちゃうわよ!」

華苑の唇に意地の悪い冷笑が浮かんだ。無様な姿を晒す璃羽を、これ以上ないほど愉しそうに眺めていた。

「璃羽、聞こえた?どうせ昔は清掃のバイトばかりしてたんでしょう?なら、ここを綺麗に掃除させるくらい、なんてことないわよね?」

璃羽は眉をひそめ、自分を取り囲む彼女たちを睨みつけた。今日ばかりは、そう簡単にここから出してもらえないことは百も承知だった。

健太に助けを求める気はない。彼もまた、ただ雇われているだけの身だ。自分のために、わざわざ華苑を敵に回すリスクを負う必要なんてどこにもない。

この数年間、どんなに辛く惨めな仕事でも歯を食いしばってやってきたのだ。かつて蒼蓮の借金を返すため、三日三晩一睡もせずにゴルフ場の球拾いをしたことだってある。それに比べれば、この程度の屈辱など、今さら痛くも痒くもなかった。

璃羽は隅に歩み寄り、雑巾を手に取ると、床にしゃがみ込み、自らの足跡を一つ一つ黙々と拭き取り始めた。

その卑屈な姿を見て、周囲に再びどっと不快な嘲笑が響き渡った。

「本当に生まれついての卑しい女ね。一生そうやって床でも磨いてるのがお似合いよ」

「そんな身分で、まさか玉の輿に乗って『小野寺夫人』の座に収まれるとでも思ってたの?」

一人の女が飲みかけのコーラを取り出すと、キャップを開け、璃羽の頭から直接ドボドボと浴びせかけた。しかも、スマートフォンを構えてその惨めな姿を録画し始めた。

「うわあ、コーラまみれのドブネズミじゃん!身の程知らずに玉の輿を狙う勘違い女に、自分がどれだけ場違いなのか、思い知らせてあげないとね!」

耳をつんざくような哄笑が響き渡る中、華苑はゆっくりと璃羽の前へ歩み寄り、その場にしゃがみ込んだ。そして、挑発的に片眉を上げ、悪意に満ちた瞳で彼女を見据えた。

「こんなの、まだほんの序の口よ。璃羽、これからが本番なんだから、せいぜい覚悟しておくことね」

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