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玉響の歌―2.春日―②

Penulis: 鷹槻れん
last update Tanggal publikasi: 2026-07-03 04:37:11

 ましてや今、自分は追われている身。

 愛しい人を巻き込むわけにはいかない。

〝かぎりなき雲ゐのよそにわかるとも

 人を心におくらさむやは〟

 だから屋形を後にする時、 彼女のもとにつかいをやってそんな歌を届けさせたのだ。

 あれを見て、 彼女はどんな顔をしただろう。

(いつか必ず戻るから……)

 心の中でそう呟く。

 故に、今、こんな所で捕まるわけにはいかない。

 彼は月明かりも射さぬ闇の中を、這うようにして進んだ。  

(俺が唯一信頼し、愛した女性ひと……)

 彼女にだけは、自分の本当の名を明かした。

 陰陽師にとって名を明かすという行為は、命を預けることだと言っても過言ではない。

 何故ならば、術者が術をかける場合に用いるものの中に、出生地、 生まれ年などと併せて名前が挙げられるからだ。

 名は万物が持つ、最も簡素な〝

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