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生まれ変わった私、夫の心に永遠に刻まれる存在となる
生まれ変わった私、夫の心に永遠に刻まれる存在となる
作者: 栖崎夕

第1話

作者: 栖崎夕
夫の新井要(あらい かなめ)の子供を妊娠したと分かったその日、彼は外で囲っていた浮気相手と別れた。

子供のためにと、彼は自ら家庭に戻ることを提案した。

平穏で静かな結婚生活の日々、私はそれで十分に満足し、このまま一生を終えるのも悪くないと思っていた。

しかし、ある日、彼の浮気相手が事故で亡くなった。

要は彼女の日記から、当時彼女が私の妊娠を知って、深く傷つき、身を引いたのだという事実を知った。

そして、その日記に挟まれていた私のエコー写真のコピーを、彼も見てしまったのだ。

要は私が手段を選ばず彼女を追い出したのだと決めつけ、私を深く恨んだ。

無理やり離婚を突きつけられ、慰謝料も財産分与もなしに家を追い出され、子供に会うことすら許されなかった。

そればかりか、あらゆる手段で私を社会的に追い詰め、生きる道すら奪おうとした。

死ぬ間際、彼が私に残した最後の言葉はこうだった。

「お前のその薄汚い愛と一緒に、地獄へ落ちろ」

再び目を開けると、私は病院の廊下に立っていた。手にあるエコー写真を迷わずビリビリに破り捨てた。

傍らにいた親友の藤堂美優(とうどう みゆ)が私の動きを見て、勢いよく立ち上がった。

「凛(りん)、何してるの?」

私は引き裂いた紙くずをゴミ箱に捨て、込み上げてくる感情を必死に抑え込んだ。

「妊娠のことは内緒にして。絶対に要には知られないように」

「どうして?せっかくのおめでたいことなのに……」

「おめでたくなんてない」私は彼女の言葉を遮った。「子供をダシにして、とっくに破綻した結婚生活を繋ぎ止めるなんて、惨めすぎる」

美優はハッとして、信じられないという顔をした。「やっと、吹っ切れたのね?」

彼女が驚くのも無理はない。

要の浮気が発覚した当初から、彼女は「早く見切りをつけるべきだ」と忠告してくれていた。

それなのに、私は意地を張って過去の甘い思い出にしがみつき、手を離せなかった。

恋は盲目というけれど、愚かな執着ほど人を狂わせるものはない。

私は自嘲気味に口角を上げ、淡々と答えた。「ええ、吹っ切れたわ」

前世の結末がどれほど悲惨だったか、私が誰よりもよく分かっている。同じ過ちは絶対に犯さない。

家に帰り、ソファでしばらくぼんやりとしていた。

すっかり日が落ちた頃、外から車のエンジン音が聞こえてきた。

要が帰ってきたのだ。

彼は泥酔しており、目尻を赤くして、ついさっきまで泣いていたかのようだった。

考えるまでもなく、彼の浮気相手――増田絢香(ますだ あやか)には、やはり許してもらえなかったのだろう。

出会って300日目の記念日を彼が忘れていたことで、絢香が怒って別れを切り出したのだ。

胸がキュッと締め付けられる気がしたけれど、心はもう死んだようだった。

だって、彼が最後に私との記念日を真面目に祝ってくれたのがいつだったか、私自身でさえもう思い出せないのだから。

絢香が現れてから、私たちの生活にそんなものは何一つない。

私の誕生日に、彼は「地方へ出張だ」と嘘をつき、実際は絢香を連れて海外へスキーに行っていた。

彼の誕生日当日、私は彼の大好物をテーブルいっぱいに用意した。朝まで彼を待ち続けたが、結局すっぽかされた。ふとSNSを開くと、目に飛び込んできたのは、彼が絢香と二人きり、キャンドルディナーで甘い時間を過ごしている写真だった。

そして今日。結婚5周年の記念日だというのに、彼はすっかり忘れている。

前世で、私はエコー写真を記念日のプレゼントとして宝物のように彼に差し出したが、返ってきたのは「絢香には知られないようにしろ」という冷酷な一言だった。

今度は、決して言わない。彼がそれを知ることは一生ない。

考えを巡らせている間に、要はドアを開けて入ってきた。

酒の匂いをぷんぷんさせながら、私の隣のソファに崩れ落ちるように座った。

私は眉をひそめ、立ち上がって寝室へ向かおうとした。

だが、突然彼に手首を掴まれた。

「凛」

それは低くしゃがれた声だった。

私は足を止め、彼が口を開くのを待った。

彼はこう聞いてきた。「どうすれば……彼女の機嫌を直せるかな?」

私は胸が締め付けられるのを感じながらも、力強く手を振り払い、平坦な声で言った。「それは、彼女に直接聞くべきじゃない?」

それを聞いて、彼はゆっくりと顔を上げ、私の顔をじっと見た。

そして不思議そうに言った。「どうして怒らないんだ?」

以前の私なら、目の前で絢香の名前を出された瞬間、手当たり次第に物を投げつけて大暴れしていただろう。

しかし今回は、あまりにも冷静だった。

あまりの落ち着きぶりに、彼は呆気に取られた様子だ。

私は答えず、まっすぐ階段へと向かった。

途中でふと、足を止め、振り返る。

「要」

彼は少し顔を向けた。「なんだ?」

「私たち、離婚しましょう」

数秒間、沈黙が落ちた。リビングに得体の知れない息苦しさが広がる。

要は眉をひそめ、苛立ちを含んだ声で言った。

「凛、冗談はよせ」

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