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第24章:冷たいキス*百合子

last update Last Updated: 2025-10-19 19:56:40
ホテルのスイートルーム。乱れたベッドのシーツ。先ほどまでの体の熱が冷たく消えていくのを感じ、裸の上半身を毛布でくるむ。ベッドの縁に座っている男が、そちらも裸の姿のままでセブンスターにライターで火をつける。煙が漂う薄暗い部屋。窓の外では、11月も暮れの夜の東京が光っている。

「大道寺家の御曹司を取り込む計画はどこまで進んでる?」

彼――隆一りゅういちの声はいつも通り無機質だ。ダスクコーポレーションの再起の話を私に持ち掛けてきたビジネスパートナー。私を利用し、私も彼を利用している。

「ちょっとした計画のズレが生じてね……あの佐伯敏夫とかいう秘書に言いくるめられて。悠真ったら、私に内緒でお見合いしたみたいなの。信じられる? 浮気と一緒でしょ」

私は笑ってごまかす。悠真がお見合いに本気じゃないのは分かる。でも、佐伯の裏工作が気に入らない。わざと私を遠ざけるようなことをして、完全にこちらの素性をお見通しだと言わんばかりに。

「浮気、か。今の今まで他所の男に抱かれていたお前とは違うのか?」

隆一の目が鋭く光る。私は肩をすくめる。

「ぜんぜん違うわ。私とあなたはビジネス。事を円滑に進めるためのコミュニケーションじゃない。そのハズでしょ? それともあなた、私に変な気を持った? やっぱりあなたも単なるオスだったってワケ?」

隆一が笑う。

「馬鹿にしてもらっちゃ困る。私もわきまえてるよ。酒を飲みかわす行為の延長線上だ。それ以上でもそれ以下でもない。だいいち、自分の娘ほどの年齢のお前に、そんな気を起こすと思うか」

「自分の娘ほどの年齢の女と抱き合った男が言うセリフじゃないでしょ」

「はは、そりゃそうだ。まあ、どんなときにもエンターテインメントは必要だからな」

そう言って煙を吐くと、隆一は私の唇を奪う。冷たく、乾いたキス。舌が絡む、計算された動き。私は目を閉じ、受け入れる。

「ふふっ、私、あなたのそういうところは嫌いじゃないわよ。ちゃんとドライに弁えてるところも、どこかのお坊ちゃんと違ってキスが上品なところも」

「どこかのお坊ちゃん、か。今はそれが大事なターゲットだろ。離すな、モノにしろ」

隆一の声が低く響く。

悠真はダスク再起の鍵。ステアリンググループの御曹司である彼を手中に収めれば、未来が開ける。なのに最近、思うようにできない。

「じゃああなたも、あの秘書をどうにかしてよ」

私が
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