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第211話

Author: 栄子
蘭と悠人が帰った後、綾は少し考えてから、自分の休憩室に戻って確認した。

特に異常はなかった。

彼女は首を横に振り、考えすぎだったと思った。

悠人は子供だし、何かをするとは思えない。

それでも、綾はこれ以上邪魔されたくなかった。

オフィスを出て、綾は奈々に言った。「今後、理由は問わず、悠人と誠也に関係する人は、一切受け付けないで」

「はい」奈々はため息をついた。「綾さん、すみません。鈴木社長の頼みだって聞いたから、鈴木社長を怒らせたらまずいと思って......」

「気持ちは分かるけど、彼女が持っていた物は偽物だった。鈴木社長の頼みだっていうのも、たぶん嘘よ」

綾は申し訳なさそうな顔をしている奈々を見て、穏やかな声で言った。「午後に来る健一郎さんの背景は鈴木社長よりずっと大きいから、気を引き締めて」

奈々はうなずいた。「分かりました!」

綾は再び修復室に戻って作業に取り掛かった。

午後3時、田中夫婦がスタジオにやってきた。

田中夫婦は今年金婚式を迎えるが、今もなお仲睦まじい。

田中澪(たなか みお)が修復を希望していたのは、ドレスだった。

そのドレスは、当時田中
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