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第640話

Autor: 栄子
試着室で、綾は大量のセクシーな下着を抱え、身動きがとれなくなっていた。

狭い試着室は、一人でも窮屈に感じるほどだった。

しかも、この試着室は2階の屋根裏部屋、つまり倉庫と繋がっていた。

そこに、足音が近づいて来た。

綾は何かを感じ、顔を上げた――

すると、黒い人影が現れた。

男は全身黒づくめの服を着て、黒い野球帽を深く被り、顔の半分は黒いマスクで隠れていて、唯一外に出ている目は切れ長で奥深いものだった。

彼は脚が長く、らせん階段を降りてくるのも、たった2歩で済んだ。

彼が現れた瞬間、綾は若美の意図を理解した。

彼女は目の前の男をじっと見つめた。

まるで時間が止まったかのようだった。

彼は相変わらず健太の姿をしていた。

綾は分かっていた。世間に対して、誠也は今も亡くなった人間でいなければならないのだと。

ただ、彼が健太の姿で自分に会いに来た意味が分からなかった。

利夫は、自分がすでに気づいていることを、彼に伝えていないのだろうか?

二人は黙って見つめ合った。

それぞれが、胸に秘めた思いを抱えていた。

そして、ついに男が先に口を開いた。

彼は目を閉じ、た
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