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第70話

作者: 栄子
「綾!」

白いカイエンが急ブレーキをかけ停車すると、助手席のドアが開き、車から降りた星羅が白いBMWへと駆け寄った。

ドアはロックされていて、星羅は窓ガラスを叩きながら叫んだが、綾は全く反応しない。

「綾!綾、しっかりして!」

綾の服についた血痕を見て、星羅の目からは涙が溢れた。

丈が駆け寄り、優しく言った。「落ち着いてください。窓を割るので、少し離れていてください」

星羅は涙を拭い、急いで後ろに下がった。

丈は特殊工具を使って窓ガラスを割り、手を中に潜り込ませ鍵を開けた。

ドアが開くと、丈はまず綾の状態を確認した。

少し離れた場所に、ハザードランプを点灯させ止まっている、黒いマイバッハの運転席に座る誠也は、険しい表情でこちらを見ていた。

丈は意識のない綾を抱きかかえ、「後ろのドアを開けてください」と言った。

星羅はすぐに後部座席のドアを開けた。

「額の傷は深くありませんが、他にも怪我をしている可能性があります」

丈は綾を後部座席に寝かせ、ドアを閉めて言った。「私が綾さんを病院に連れて行きます。君は、彼女の車を運転して病院まで来てください」

「分かりました」
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