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第4話

Penulis: あおば
「私の分は、もう考えなくていいよ」

寧々はきょとんとした顔になり、朔も私の方を向く。

「どういう意味だ?」

「べつに。二人がいいと思うなら、それでいいよ」

私がドアの方へ歩き出すと、朔が追いかけてきた。

「綾菜、いちいち嫌味っぽい言い方するの、やめられないのか?」

私は足を止めて、彼を振り返った。

「じゃあ、これからは二人の好きなように内装を決めて。どうせ私は住まないから」

彼は言葉を失っていた。

寧々が先にふっと笑った。

「綾菜、またそんな冗談ばっかり言って」

私も笑った。

「冗談じゃないよ」

数日後、私たちが付き合って4年目の記念日がやってきた。

朔は忘れていたし、実を言えば私も忘れかけていた。

午前中、美咲が私に声をかけてくれた。

「今日って、記念日じゃありませんでした?」

それでようやく思い出したのだ。

去年のこの日、朔はネックレスをプレゼントしてくれた。

その前の年は一緒に海へ行ったし、もっと前には、夜11時まで店の前で待っていてくれたこともある。あのとき朔が抱えていたトルコキキョウの花束は、風に吹かれてすっかり形が崩れていた。

でも今年は、メッセージが一通届いただけ。

【今夜は残業になるから、先に寝てて】

私は画面を数秒見つめてから、返信した。

【わかった】

それでも私は、とても小さなケーキを一つ焼いた。彼を待つためではなく、すでに材料を用意してしまっていたからだ。

祖母が好きな、マロンクリームのケーキ。

夜の8時、私はケーキを持って祖母の家へ行った。

ケーキを切り分けたところで、朔から電話がかかってきた。

電話に出ると、向こうは工事現場らしく、周囲がひどく騒がしかった。

「今どこ?」

「おばあちゃんの家」

「なんでまたそっちに行ったんだ?」

「残業じゃなかったの?」

彼は少し言葉に詰まった。

「寧々の現場で急にトラブルがあったから、様子を見に来たんだ」

やっぱり。

私は尋ねた。

「今日が何の日か、覚えてる?」

電話の向こうが急に静まり返り、数秒後に彼は言った。

「綾菜、最近本当に忙しいんだよ」

私はふっと笑った。

「わかってる」

「わかってるなら、こんな時にそんなこと言うなよ。もう4年だぞ。いちいち日付にこだわる必要があるのか?」

私は答えなかった。

彼は言葉を続ける。

「このプロジェクトが終わったら、埋め合わせするから」

「いらない」

「え?」

私はフォークでケーキを小さく切り分けた。

「朔、私たち別れよう」

電話の向こうは長い間、沈黙していた。風がマイクに当たる音まで聞こえてくる。

やがて彼は、疲れをにじませてふっと笑った。

「最近、暇すぎて余計なことばかり考えてるんじゃないのか?」

私はフォークをぎゅっと握りしめた。

「本気だよ」

「記念日に一緒に過ごせなかったから?」

「違う」

「じゃあキッチンのことか?」

「それでもない」

彼の声に、ようやく少し苛立ちが混じった。

「じゃあ、いったい何なんだよ?」

答えようとしたけれど、言いたいことがあまりにも多すぎて、何から話せばいいのかわからない。

あの日の雨、胃薬のこと、ベーグルのこと、キッチンのこと……それに、何度も一緒に食事をしているのに、朔と寧々だけで私にはわからない話を続けていたこと、私が名前を呼んでも、寧々が話し終わるまで朔は振り向いてくれなかったこと。

寧々が朔を必要とするときは、いつだって大事な用事になるのに、私が朔を必要とすると、ただ感情的になっているだけだと思われること……

どれも小さなことばかりで、一つずつ取り上げれば、きっと私のほうが大げさに騒いでいるように見えるのだろう。

だから最後に、こう伝えることしかできなかった。

「もう、一緒にいたくないから」

そのとき電話の向こうから、「周防さん」と呼ぶ声が聞こえ、続いて寧々の声がした。

「朔、ちょっとこっち見てもらえる?」

朔が小さく返事をするのが聞こえ、そして私にこう言った。

「綾菜、とりあえず落ち着いてくれ。仕事が終わったら帰って話そう」

「そんなことしなくていいよ」

「綾菜、別れるなんて言って俺を困らせるな」

彼は電話を切った。

祖母は私が電話で何を話していたのか聞かず、ただ一番大きく切ったマロンケーキを私の前に差し出してくれた。

「ほら、食べなさい」

俯くと、涙がぽろぽろとこぼれ、皿の縁に落ちた。

祖母は気づかないふりをして、ゆっくりと言う。

「このケーキ、おいしいねえ。去年のも美味しかったけど、今年のはもっと美味しい」

私は泣きながら笑った。

「去年は甘すぎるって言ってたのに」

「人は変わるものよ。好みだって、気持ちだってね」

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