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第5話

Penulis: あおば
その日の夜11時すぎ、寧々からとても長いボイスメッセージが届いた。

「綾菜、朔に別れ話をしたって聞いたけど、本当?お願いだから、私のことで怒らないでね。今日は本当に現場でトラブルがあって、消防関係の確認がなかなか通らなかったの。

朔も仕事で仕方なく来てくれただけだし、それに、朔が記念日とか覚えない人だって、前から知ってるでしょ?あんなに仲がよかったんだから、こんな些細なことで……」

半分まで聞いたところで、私は再生を止めた。

午前1時、朔が帰ってきた。しかも、祖母の家まで私を探しに来たのだ。

私が外に出ると、彼は疲れ切った顔で廊下に立っていた。手を伸ばして私に触れようとしたけれど、私が一歩後ろに下がると、その手は空中で止まる。

「まだ怒ってるのか?」

「ううん」

「じゃあ、帰るか?」

「帰らない」

「綾菜」

彼は眉間をもみほぐした。

「俺ももう疲れてるんだ。毎回、何を考えてるのか察しろっていうのはやめてくれないか?」

私は彼をまっすぐ見つめた。

「じゃあ、これで最後にするね。私たち、もう別れたから」

彼は私をじっと見つめ、しばらくしてふっと笑った。

「わかったよ。ここにいたいなら、気が済むまでいればいい」

そう言って背を向け、階段を数段降りたところでまた振り返った。

「明日はちゃんと起きろよ。朝、ついでに迎えに来るから」

もう朔の車に乗るつもりはないけれど、それを伝えることもしなかった。

どうやら朔の中では、私たちはまだ別れていないらしい。

一緒に撮った写真も消さず、荷物を引き取りに来いとも言わない。それどころか翌朝、本当に祖母の家の前まで車で迎えに来た。

しかし、私は30分早く家を出て、先にバスで行っていた。

10時すぎ、彼から連絡が来る。

【先に行ったなら、どうして言ってくれなかったんだ?】

私は返事をしなかった。

すると、お昼にまたメッセージが来た。

【夜は帰ってきて、家で飯を食おう】

やっぱり私は無視する。

彼もさすがに腹を立てたのだろう。それから3日間、朔からの連絡は途絶えた。

以前なら、朔が急に連絡をくれなくなるだけで不安になり、こちらからコーヒーを買って届けたり、夜に設計事務所まで迎えに行ったりしていた。そして最後には、決まって私から謝る。

「もう、私が悪かったって。ごめんね」

でも今回、私も何もしなかった。

4日目、寧々がやってきた。

彼女が白いチューリップの花束を持ってきたので、それを見た美咲がニコニコして言う。

「お友達、すごく素敵ですね」

寧々は店の一番窓際の席に座り、私の仕事が終わるのをずっと待っていた。

私は着替えて席へ向かうと、彼女は開口一番こう言う。

「綾菜、いつまでこんなこと続けるつもり?」

私は思わず聞き返した。

「こんなこと?」

「朔、ここ数日ずっと調子が悪いの。昨日なんて会議中に建材の品番を間違えかけたんだから」

「だから何?」

「二人とも好き同士なんでしょ?まあ、私に嫉妬する気持ちはわかるから、これからはなるべく朔と距離を置くようにする。それでいい?」

あまりにも見当違いな言葉に、私は呆れてしまった。

「寧々、本当にあなたたちの距離が近すぎることだけが問題だと思ってるの?」

きょとんとした寧々。

私は続ける。

「私が別れ話をしたとき、朔は寧々と一緒にいたでしょ?なのに、本人は話しに来ないで、先に寧々が来るんだね」

寧々の表情が曇った。

「私はただ、二人のためを思って……」

「本当に私たちのためを思うなら、これからはもう首を突っ込まないで」

寧々の目がたちまち赤くなった。

「綾菜、それどういう意味?」

私は彼女を見つめた。

「言葉通りの意味だよ。朔は寧々の彼氏じゃないし、私たちのことの間に入ってもらう必要もないから」

寧々は勢いよく立ち上がった。

「私のことを疑ってるの?」

周りの客がちらちらとこちらを見始めたので、私は声を潜めた。

「疑うつもりはないよ。ただ、もう疲れたの。だから、これからは朔の話を私にしないで」

寧々は数秒間私を睨みつけ、ポロポロと涙をこぼした。

「わかった」

彼女はバッグをひっつかむと、そのまま出ていった。

私がその場に座ったままでいると、美咲がやってきて小声で尋ねた。

「追いかけなくていいんですか?」

私は首を横に振った。

「ええ、大丈夫です」

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