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第423話

Author: 風羽
重苦しい沈黙が流れた。

輝はやっとの思いで口を開いた。

「茉莉が……事故に遭った。今、手術中だ」

ちょうどその時、看護師が現れ、新しい危篤通知を手渡した。

瑠璃はそれを受け取り、一字一句を追うように読み上げた。

【脾臓破裂・重度脳震盪】

その言葉は、彼女にとってまるで未知の文字の羅列のように響いた。

今朝、茉莉は元気に登校したばかりだった。

可愛らしいワンピースを着て、車に乗り込む前に手を振り、笑顔は小さな太陽のように輝いていた。

どうしてその子が、今、手術室で命の境をさまよっているのだろう。

瑠璃は涙に濡れた目を上げ、輝を射抜くように見据えた。

「どうして……?茉莉はあなたと一緒にいたのに、どうして事故に遭ったの?」

絵里香が慌てて口を挟んだ。

「輝に頼まれて、茉莉を食事に連れて行ったんです。横断歩道を渡っていた時、白いセダンが猛スピードで……気づいたら茉莉は血だまりに倒れていて……赤坂さん、私も輝も故意じゃありません。ただの交通事故です。信じてください!」

瑠璃の目は真っ赤に染まり、涙は止めどなく溢れ続けた。

彼女はふらりと輝の前に進み出ると、思い切り頬を打った。

乾いた音が廊下に響き、皆が息を呑む間もなく、もう一度、力任せに打ち据えた。

「輝!あの女が故意だったかどうかは後で糾弾する。でも、あなたは父親よ!私は何度も言ったはず。あの女に茉莉を預けないで、と。レストランだけならいい、と。

それなのに、どうして彼女に任せたの?子を産んだことのない人間に、母親の気持ちなんて分かるわけがない。他人の子の重みを背負えるはずがない。

けれど、あなたは父親でしょう!あの時どこにいたの?教えてよ、どこにいたの!」

輝は打たれるままにし、ただ彼女の隆起した腹部を見つめた。

胸の奥に溢れる悔恨と自責は言葉を奪い、かろうじて絞り出した声はかすれていた。

「こんなことになるなんて、思わなかった。瑠璃……ごめん」

その横で、絵里香がたまらず吐き捨てた。

「所詮は私生児でしょ。輝は十分に良くしてあげたじゃない」

瞬間、瑠璃の手が再び振り抜かれ、彼女の頬を打った。

「口の利き方を、教えてやるわ」

絵里香は反射的に手を上げたが、輝が素早くその手首を掴んだ。

強く握り締められた痛みに、彼女は顔を歪める。

輝の眼差しには怒りが燃えていた。
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