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11.あまみや④

Penulis: 鷹槻れん
last update Terakhir Diperbarui: 2025-08-20 19:00:22

 そりゃ、お値段の見通しが立たない不安で、迷子の子猫ちゃんにもなりますよ。

 だって……金額不明ですよ?

 奏芽《かなめ》さん、分かってます?

 常連さんなのだから、彼にはこのぐらい食べたら大体おいくら的な相場がインプットされているのかもしれない。

 でも私にはないのです。

 分かってますか?

「……初めて見た時から思ってたんだけど――」

 と、そこで今まで私たちのやりとりに口を挟まなかった雨宮《あまみや》さんが、堪えきれなくなったみたいに唐突に声をかけてきて、私たちは思わず雨宮さんの方を見た。

「彼女、雰囲気がお前の妹に似てるよな?」

 雨宮さんの言葉に私は眺めていたお品書きから顔を上げると、思わず右隣に座る奏芽さんの方を見つめてしまった。

 前に、奏芽さんから、私を妹さんと重ねて気になった、と言われたことがあったのを思い出したから……。

 そのあと、妹にキスしたいと思ったことはないから、その言葉は前言撤回だって言われたけれど……第三者からも同じように言われるってことは……と考えてしまってソワソワする。

「前来てくれたとき、音芽《おとめ》ちゃんもだいぶ髪の毛伸びてて、彼女みたいにお下げにしてたんだよ」

 言われて、私は思わず「えっ」と声を出してしまっていた。

 奏芽さんが執拗に私の髪の毛を引っ張ったりしてくるのって……そういう?

「あの……奏芽、さん……」

 ソワソワと落ち着かない気持ちで奏芽さんの顔を見つめたら、「雨宮、ちょっと黙っててくれるか?」と、奏芽さんの低音が響いた。

「凜子《りんこ》」

 次いで、静かな声音で名前を呼ばれて顔を見つめられた私は、何だかいたたまれない気持ちになって、思わず視線をそらす。

「――な、頼むからこっち見て?」

 奏芽さんが「見ろ」じゃなく「見て

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