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第15話

Author: 幻の夢
奈月は身体を強張らせたまま振り返った。

そこには、ひどくやつれた顔をした慎吾が立っていた。

奈月をまっすぐ見つめ、掴んだ手にも強い力がこもっている。

その瞬間、消えかけていたはずの憎しみと怒りが、一気に押し寄せてきた。

思いきり頬を何度か叩いてやりたい。

そう思った。

けれど、直樹に以前言われた言葉が、ぎりぎりのところで奈月を引き戻した。

自分が先に崩れてはいけない。

まして、もう自分の人生には関係のない人間のせいで、心春をもう一度傷つけるわけにはいかなかった。

ほんの短い沈黙の間に、直樹も何かを察したらしい。

心春の後頭部にそっと手を添え、そのまま自分の肩へ寄せた。

まずは子どもを安心させるように言った。

「大丈夫。怖くないよ」

たったそれだけの言葉だった。

それなのに慎吾は、一瞬、立っている力さえ失いそうになった。

自分の娘なのに、ほかの男から「怖くないよ」と守るように声をかけられている。

慎吾は、自分が父親としてどれほど何もしてこなかったのか、思い知らされた。

慎吾は喉が詰まり、何も言えなかった。

その間に奈月は、掴まれていた腕を強く引き抜いた
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