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第2話

Penulis: 大葉
私はくるりと振り返り、尚弥の視線を真正面から受け止めながら、平然とスマホをしまった。

「遠縁の姪よ。薄情な男に引っかかったらしいの」

尚弥はしばらく私の顔を凝視し、異変がないと判断すると、ようやく腕を伸ばして私を抱き寄せ、顎をそっと私の頭のてっぺんに置いた。

「志乃、安心しろ。俺は最高の夫になる。君を一生裏切らない」

私は彼の硬い胸に寄りかかり、懐かしくもどこか遠い鼓動を感じながら、小さく尋ねた。

「もし……もしあなたが本当に私を裏切る日が来たら?」

尚弥の腕が瞬間的に強く締まり、骨がきしむほどだった。

「そんな日は来ない」その声には一片の迷いもなかった。「俺が愛するのは、君一人だ」

「それでも、もしもの話よ」私は頑なに繰り返した。

彼は黙り、熱い吐息が私の耳にかかり、残酷なほど優しい気配を帯びた。

「その時は俺を罰すればいい。どこへ行こうと、地の底まで探しても……君は二度と俺には見つからない。

志乃、君は俺の唯一の弱点だ。俺の命だ。命を失ったら、生きていけるわけがないだろ」

私は形だけの笑みを見せた。

尚弥、あなたへの罰は、もうすぐだ。

三日後、あなたは自分が言ったとおり、「命」を失うことになる。

そのとき、甘ったるい女の声が響いた。「ボス、ご所望のもの、準備できました」

沙耶。名目上は私のアシスタントだが、実際は尚弥の新しい「お気に入り」だ。

彼女は給仕の制服を着て、トレイを両手で支え、少し離れた場所に恭しく立っていた。

伏し目がちで、ただ仕事に集中しているという様子は、先ほど尚弥が「ベッドでは相当な腕前だ」と評していた姿とはまるで別人のようだった。

尚弥は冷淡にうなずき、手を振って下がらせた。

二人の息の合ったやり取りを見ていると、吐き気すら覚えた。

二人ともここまで演技が巧みなら、芸能界に行かないのは惜しいほどだ。

あのスマホがなければ、私は死ぬまで自分が童話の中にいると信じたままだっただろう。

尚弥が突然、私の目元を手で覆い、甘く囁いた。

「志乃、目を閉じろ。誕生日のサプライズだ。

五、四、三……」

最後の数字を言うと同時に、彼は手を離した。

だがそこにあるのは、私が想像した花火でも薔薇でもなかった。

彼の側近が片膝をつき、両手でビロードの箱を差し出したのだ。

箱の中には、細かなダイヤが散りばめられた銀色の拳銃。照明を受けて、冷たく妖しい光を放っている。

尚弥は背後から私を抱きしめ、私の手を包むようにしてその銃を持たせた。

「志乃、今日から、俺の権力は君と共にある。この銃は君の権力の象徴だ。無礼なやつがいれば……撃ち殺して構わない」

私はその銃を見つめ、呆然とした。

五年前も彼は同じように私を抱きしめ、熱いミルクを手渡して「一生君を守るよ」と言った。

五年後、差し出されたのは銃で、「権力を共有しよう」という。

尚弥が向き直り、深いまなざしで私を捉え、キスを落とそうとしたその瞬間、彼のポケットから不意に着信音が響いた。

彼は眉をひそめ、うんざりした気配を一瞬覗かせた。

「今夜は誰も邪魔するなと命じたはずだ」

だが、画面を確認した途端、その表情が一瞬だけ凍りついた。

視界の端に、名前のない着信表示。真っ赤なハートのアイコンが見えた。

尚弥は咳払いし、平静を装って画面を消したが、指先はポケットの中で素早く動いていた。

そのとき、彼の瞳に欲の色が一瞬きらめいたのを、私ははっきり見た。

やっぱり。

顔を上げた彼の表情には、すでに「罪悪感」が丁寧に塗り重ねられていた。

「志乃……すまない。本当は誕生日にずっと一緒にいるべきなんだが、急ぎのことが……」

私は彼の拙い嘘を聞く気もなく、途中で遮った。「行けばいいわ。仕事が大事でしょう」

尚弥は明らかに胸をなで下ろした。いつもなら離れる前に息ができなくなるほど深く口づけてくるのに、今日彼は私の額に軽く口づけただけで、大股で去っていった。

私はその背中が廊下の奥に消えるまで見送り、それから別荘の監視室へ向かった。
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