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第7話

Author: ショウガ飴
夕暮れ時が再び迫っていた。

美夜は千万円もする高級車に乗り込んだ。たとえ蓮のボディーガードが運転する車であっても、車内は全面アルカンターラ仕様だった。

いまや蓮は、津海市で業界のリーダー企業社長となっていた。

グループの拡大の一歩一歩、資金の一分一厘にまで、泉家の血と肉が滲んでいる。

車は市街地を離れ、郊外の安城区へと進んでいった。

意外だったのは、蓮がその車に乗っていなかったことだった。

それを知って、彼女は思わず胸を撫で下ろした。

もし父が拘置所の囚人に殴られている動画を携帯で見ていなければ、彼女はこんなふうに素直に車に乗ることなど決してなかっただろう。

ひと月前、父は収賄の疑いで誰かに密告され、規律違反の疑いで取り調べを受け始めた。それ以来、彼女は父の姿を一度も見ていない。

この一ヶ月、父はどれほど辛い思いをしているのか。

とくにあの動画では、父が自分よりはるかに体格のいい若い二人の囚人に地面に押さえつけられ、顔を靴で蹴られていた。鼻血が真っ赤な絵の具のように噴き出し、顔の半分を真っ赤に染めていた……

彼女は一刻も早く父に会いたい。

車はアスファルトの道を滑るように疾走した。

三十分後、車は高い塀と電気柵に囲まれた施設の前に停まった————安城区の拘置所だった。

面会室で父に再会したとき、父の顔にはまだ血の跡が残っていた。多くはすでに乾いて固まり、かつての端正な顔立ちも、どこか老け込んで見えた。

たった一ヶ月会わなかっただけなのに、こめかみには白髪が増えていた。

「お父さん!」

その姿を見た瞬間、美夜は思わず駆け寄って抱きついた。

鉄製の椅子に座っていた父、泉国臣(いずみ くにおみ)は、銀色の手錠をつけた手を持ち上げ、彼女を抱きとめようとした。「美夜、大丈夫だ。父さんは平気だ。午後の作業中に転んだだけだ」

「お父さん……」美夜は、心が張り裂けそうだった。明らかに囚人に殴られたのに、まだ自分に嘘をついて庇おうとする。

「父さんは大丈夫だ。美夜、どうしてここに?誰に連れてこられたんだ?」

驚きと喜びが入り混じる中、彼は娘の手をぎゅっと握りしめた。

本来、調査結果が出る前に家族との面会は許されないはずだった。

だが、次の瞬間、国臣の目元がぴくりと動き、警戒の色を強めた。「黒川が連れてきたのか?」

「うん」

父の前で、美夜は隠す気になれなかった。

父の眼差しがさらに鋭くなった。語気には明らかな焦りが滲んでいた。

「美夜、父さんの言うことを聞け。何としても我々の会社、『玉城』を守るんだ。あれは君の母さんが一生を捧げたものだ。それから……絶対に蓮とは……」

言葉の途中で、父の口が急に閉ざされた。その目が、娘の背後をじっと見つめていた。

それまで見たことのない鋭い眼光だった。かつての穏やかさは消え去り、まるで仇敵を睨みつけるような、冷酷な光を宿していた。

戸惑う美夜は、父の視線を追うように後ろを振り返った。そして、入口に立つあの長身の男の姿を目にした瞬間、胸が沈んだ。

蓮だった。

「話を邪魔してしまったかな?」

蓮はすでにこちらへと歩いてきていた。軽い調子でそう言いながら、何気ない様子で国臣の前に立った。その全身から、抑え込まれた重々しい気配が漂っていた。

「お父さんを殴らせたの、あなた?」

その顔を見た途端、美夜は思わず口をついて問いかけてしまった。抑えていた思いが、一気に溢れ出た。

「私をここに連れてきたのは、父の無残な姿を見せつけるためだったの?」

「俺が殴らせた?」

蓮は首をかしげた。彼女より一回りも背の高い男が、斜めに彼女を見下ろした。嘲笑うような目つきで。

「君をここに連れてきたのは、父親に少し大人しくするよう言ってもらうためだ。これ以上、他の囚人を挑発したり、自殺なんて馬鹿な真似を考えさせないようにな」

父が自ら騒ぎを起こし、殴られた?

信じられず、美夜は父を振り返った。「お父さん……?」

彼女には、父がそんなことをする理由がどうしても思い浮かばなかった。

彼女にとって父は、常に山のように大きく、冷静で堂々とした存在だったからだ。

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