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第2話

مؤلف: みかんタルト
蒼真の顔にふと痛ましそうな色がよぎる。彼は私をちらりと窺ったものの、結局その手を差し伸べることはなかった。

悟は口を尖らせ、その大きな瞳に涙をいっぱいに溜めてみせた。

「パパ、もう悟のこと好きじゃないんだ……」

結衣は私と視線がぶつかると、びくりと身体を震わせ、慌てて悟の口を塞いだ。

「ごめんなさい……幼稚園で、家族の集合写真と、家族全員で歌を歌う課題が出されていて……

お邪魔するつもりはなかったんです。でも、蒼真がちっともスマホを見てくれなくて、提出は明日までで……」

結衣は申し訳なさそうに目を伏せる。その姿は、誰もが庇護欲を掻き立てられるほどに可憐だった。

私は顔を強張らせ、腹の底から湧き上がる怒りを必死に押し殺した。

今日あれだけ長い時間一緒にいたのに、課題のことなんて一言も口にしなかったくせに。どうして今になって急に思い出すのか。

「奥さん、お願いです、どうか少しだけ時間をいただけませんか。悟を、父親のいない可哀想な子だなんて言われたくなくて」

もう限界だった。私の怒りは一気に臨界点を突破する。

「出てけ!あんたたちの汚い顔なんて、今すぐ私の目の前から消え失せなさいよ!」

彼女の息子である悟には、付き添ってくれる父親がいる。学校の課題を一緒にこなし、人生のあらゆる重要な局面に父親が参加してくれるのだ。

なのに、私の太一は。父親がいるはずなのに、まるでいないも同然だった。

すっぽかされた保護者会、一度も手伝ってくれなかった宿題。あの子が病気で伏せっていた時でさえ、彼は一度も顔を見せなかった。

蒼真は痛ましげに悟の耳を覆うと、ひどく険しい表情で私を睨みつけた。

「子供の目の前だぞ、口を慎め!」

結衣の目頭が瞬時に赤く染まる。彼女は悟を抱きしめる腕の力を強めた。

「奥さん、私のことが憎いのは分かっています。

私を叩いても、罵っても構いません。甘んじて受け入れます。でも、どうかこの子だけは責めないで。子供に罪はありませんから」

彼女は肩を震わせ、顔を覆って泣き崩れた。

「あなたも母親だったのだから、この気持ち、きっと分かっていただけますよね」

悟は彼女の腕の中から飛び出すと、歯を食いしばりながら、私の腹部へと勢いよく頭突きをしてきた。

私は数歩たたらを踏み、テーブルに手をついて辛うじて持ちこたえた。

下腹部に、えぐられるような激痛が走る。

息を呑む暇すらなく、悟の小さな拳が次々と私の腹に叩き込まれた。

一撃ごとに、鋭い痛みが倍加していく。

「ママをいじめるな!

パパをたぶらかした、悪い女のくせに!」

私は痛みに耐えかねて彼をドンッと突き飛ばし、蒼白な顔で下腹部を押さえた。

悟は尻餅をつき、口を大きく開けて泣き喚き始めた。

「お前なんか大っ嫌いだ!パパを取ったくせに、ママまでいじめて!

お前のせいで僕の家族はバラバラだ!もう悟は、幸せな子供じゃないんだ!」

蒼真は慌てて悟を抱き上げ、その背中を優しくトントンと叩いた。

「泣くな、悟。パパが守ってやるからな」

そして、氷のように冷たい視線を私へと向ける。

「悟をいじめる奴がいたら、パパが十倍にしてやり返してやる」

「悟、ママが不甲斐ないばかりに……さあ、もうお家に帰りましょう……」

結衣は涙ながらに、蒼真の腕に抱かれた悟にしがみついた。

蒼真の表情が揺らぎ、彼は彼女をもその腕の中に抱き寄せた。

「帰る必要なんてない!ここがお前たちの家だ!」

下腹部の刺すような痛みが、かえって私の意識を異常なほど研ぎ澄ませていた。私は冷笑を浮かべながら、目の前で繰り広げられるひどくお似合いな家族劇を眺めていた。

私の冷ややかな視線に気づいたのか、蒼真はバツの悪そうな顔で結衣から身体を離した。

だが次の瞬間、彼は大声で私を怒鳴りつけた。

「凛音、お前はどこまで底意地が悪いんだ!

大人同士の事情を、どうして子供に八つ当たりする。

こんなに小さな子が、一体何を分かってるって言うんだ!」

私は涙の滲む目で、彼の腕に抱かれた「何も分かっていない」はずの悟を一瞥した。

悟は蒼真の死角から、私に向かって挑発的なあっかんべーをしてみせた。

「何も分かっていない子が、夜中にわざとあなたと一緒に寝たいなんて駄々をこねるの?

何も分かっていない子が、わざと私を突き飛ばしておいて、褒めてほしそうな顔をするっていうの?

やっぱり、泥棒猫の子供がやることは卑怯で薄汚いわね!」

蒼真の額に青筋が浮かび上がり、その眼差しは刃のように鋭くなった。

「いい加減にしろ!この子はまだ幼い。ただ父親を慕い、実の母親を守りたいだけの子供じゃないか!

凛音、息子の死を受け入れられないお前の気持ちは分かる。だが、だからといって他人の子供を憂さ晴らしの道具にしていいわけがないだろう!」

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