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第299話

Auteur: 藤原 白乃介
その瞬間の智哉は、まるですべての鋭さを脱ぎ捨てた子犬のように、従順で切なげな目で佳奈を見つめていた。

その姿を見た佳奈の胸が、まるで何かに刺されたようにチクチクと痛んだ。

彼女はそっと膝をつき、智哉の頭を撫でながら、優しく囁いた。

「智哉、家まで送るね」

智哉は目を潤ませながら彼女を見つめ、低く呟いた。

「行かないって約束してくれるなら、一緒に帰る」

「うん、約束する」

その言葉を聞いた途端、智哉はようやく立ち上がり、ふらふらとしながらも佳奈の手を離すことなく、一緒にその場をあとにした。

まるで、その手を離した瞬間に彼女が消えてしまうのではないかと、怯えるように。

白川家に着いた後、佳奈は智哉の体を簡単に拭いて、毛布をかけてあげた。

眠っている彼の眉間はまだ苦しげに寄っていて、佳奈は胸が締めつけられるようだった。

彼女はそっと手を伸ばし、その眉間をなでて、少しでも彼の心が安らぐようにと願った。

その指先は無意識に、智哉の整った顔立ちをなぞっていた。

眉から目へ、鼻から口元へと、触れるたびに胸がきしんだ。

きっと、自分がいなくなったら彼はしばらく辛い時間を過ご
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