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第357話

Author: 青葉凛
「ううん……もう遅いし、家に帰りましょうよ。今日はさすがに疲れちゃった。真っ直ぐ帰って休みたいわ」

紫音は軽く首を横に振って微笑んだ。本音を言えば、最近は互いに仕事が忙しく、ゆっくり食事をとる時間すらなかったため、今夜は二人でディナーを楽しみたいと思っていたのだ。

しかし、志津の急変でそんな余裕は完全に吹き飛んでしまった。今後数日も、律は志津のことで頭がいっぱいだろうし、紫音自身も病院の往復で気が休まらないはずだ。

それに、自宅には家政婦の松田が美味しい料理を用意して待ってくれている。愛する人と一緒にいられるなら、豪華なレストランでなくとも、そこが一番の安らぎの場所になる。

「わかった。君が一番リラックスできるのがいい」律は短く応じ、車の進路を自宅へと向けた。紫音が心身ともに疲労困憊しているのが、彼にも手に取るようにわかった。拝島家のあの異様な空気に当てられれば、憔悴するのも無理はない。

「ねえ、律」車窓を流れる街灯の光を眺めながら、紫音はぽつりと零した。「私のためだからって、無理に自分を変えようとしなくていいのよ。あなたは、あなたのままで十分だわ」

「以前はね、あなたと一
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