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第11話

Auteur: シーシー
谷口杏紫の家のドアをノックすると、彼女は私のスーツケースを見て言った。

「潤禾、どうしたの?何があったの?」

私は、今日の出来事をすべて彼女に話した。

話を聞いた谷口杏紫は、優しく私を抱きしめながら言った。

「まずは休みなさい。明日はきっといい日になるわ」

慣れない部屋のベッドに横たわりながら、私はなかなか眠れず、いろいろな考えが頭を巡った。

この二部屋のアパートは、もともと私が谷口杏紫のために借りたものだった。まさか、自分もここに住むことになるとは思わなかった。

翌朝、まだ薄明かりの頃、谷口杏紫が出かける音で目が覚めた。

【こんな早く、どこにいきますか】

目を細めながら、彼女に音声メッセージを送った。

すぐに返信がきた。

【ごめんね、潤禾。起こしちゃった?実はね、数日前に清掃の仕事を見つけたの。今、出勤中よ!】

彼女の声は軽快で、早起きして働くことが楽しみで仕方がない様子だった。

彼女の明るい態度につられて、私はふざけて「がんばれ!」のスタンプを送ると、彼女からは懐かしい「了解!」というレトロなスタンプが返ってきた。

結婚して長井家に嫁いでからの約二年間、私たちは本当の親子のように仲が良かった。

彼女は、私に対して実の娘のように接してくれたので、私も心から彼女を大切にしてきた。

仕事帰り、私は彼女を喜ばせたくて、彼女の大好きなフルーツケーキを買った。

彼女が仕事を見つけたお祝いをしようと思ったのだ。

しかし、鍵を開けて部屋に入ると、暗い部屋の隅で、彼女が丸くなっているのが目に入った。

電気もついていない薄暗い部屋の中、私はそっとしゃがみ込んで声をかけた。

「どうした?」

彼女は顔を上げ、ゆっくりと話し始めた。

「長井厚丈、堀艶笑が、私の職場を見つけたの」

どうやって調べたのか、長井厚丈は堀艶笑と、谷口杏紫の職場に押しかけてきたという。

堀艶笑は職場の全員の前で、谷口杏紫の私生活が乱れているだの、不潔な病気を持っているだのと中傷した。長井厚丈も恥じることなく、それに同調していたらしい。

挙げ句の果てには「彼女を家から追い出したのも、それが原因だ」とまで言い放った。

谷口杏紫が入社時の健康診断の報告書を見せて、潔白を証明しようとしたところ、堀艶笑はそれを奪い取って「偽造だ」と非難した。

結果として、その社長は、谷口
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