Share

39

Author: 槇瀬陽翔
last update Last Updated: 2025-12-06 18:00:50

家に着くと速攻でシャワーを浴びました。だって気持ちわりぃんだもん。ベタベタしててさ。

腰にタオルを巻いた格好で出てきた俺はそのまま部屋に行った。だってねぇ、帰ってそのまま風呂場に直行しちゃったから着替えがないのよね。部屋に入って時計を見たら5時だった。

「寝る時間ねぇし」

文句ひとつつきそのまま制服へと着替えることにした。

リビングに入りソファの上にカバンと上着を置くとキッチンに行き冷蔵庫の扉を開けた。冷蔵庫の中身を見てしばらく考えてから

「オムレツでも作るか」

材料を取り出し、色々と準備して作り始めた。

「一人で食べるのは味気ないねぇ」

なんて言いながら椅子に座って食べ始める。味なんてわかりゃしない。食べれればいい。

「拓ちゃんのオムライスが恋しぃ」

自分で作ったオムレツを口にして思い出したのは拓ちゃんの作ってくれたオムライス。

「ホント…一人じゃ味気ないねぇ」

パンをちぎりながら呟いた。

こんなことを口にしたって戻ってこないんだけどさ。冷めたものは冷めたまま。このまま壊れていくんだろうな。永遠に冷めたままで…。俺は何の価値もないままに終わりを告げていくんだろうな…。それならそれでいい。楽な方を選ばせて…。

「御馳走様でしたぁ」

俺は食べ終えて食器を片付けていく。一人暮らしが長いとこういうのも慣れちゃうよねぇ。

「あっ、洗濯物もしないと…。ついでに回してっちゃお~っと」

俺は洗面所に行き、洗濯機の中に洗濯物をほおりこむと洗剤と柔軟剤を入れてボタンを押した。帰ってきたら干すだけの状態だしこれで良し。

「後は、何かやらないといけないことあったけ?ゴミは明日だし…買い出し?」

ブツブツと言いながらキッチンに戻って来てもう一度、冷蔵庫を開けて中身を確認した。

「まだ大丈夫か」

自分が食べるだけなら必要な食材は十分にある。なくなるのはパンぐらいか…。米もまだあるし…。

ん~、完全に主夫してるね俺。まぁ、しょうがないんだけどさ。

「うわ、時間だ」

ご飯食べてからゴソゴソとやってたらバスが来る時間になってた。
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 蒼い華が咲く   39

    家に着くと速攻でシャワーを浴びました。だって気持ちわりぃんだもん。ベタベタしててさ。腰にタオルを巻いた格好で出てきた俺はそのまま部屋に行った。だってねぇ、帰ってそのまま風呂場に直行しちゃったから着替えがないのよね。部屋に入って時計を見たら5時だった。 「寝る時間ねぇし」 文句ひとつつきそのまま制服へと着替えることにした。リビングに入りソファの上にカバンと上着を置くとキッチンに行き冷蔵庫の扉を開けた。冷蔵庫の中身を見てしばらく考えてから 「オムレツでも作るか」 材料を取り出し、色々と準備して作り始めた。「一人で食べるのは味気ないねぇ」 なんて言いながら椅子に座って食べ始める。味なんてわかりゃしない。食べれればいい。 「拓ちゃんのオムライスが恋しぃ」 自分で作ったオムレツを口にして思い出したのは拓ちゃんの作ってくれたオムライス。 「ホント…一人じゃ味気ないねぇ」 パンをちぎりながら呟いた。こんなことを口にしたって戻ってこないんだけどさ。冷めたものは冷めたまま。このまま壊れていくんだろうな。永遠に冷めたままで…。俺は何の価値もないままに終わりを告げていくんだろうな…。それならそれでいい。楽な方を選ばせて…。「御馳走様でしたぁ」 俺は食べ終えて食器を片付けていく。一人暮らしが長いとこういうのも慣れちゃうよねぇ。 「あっ、洗濯物もしないと…。ついでに回してっちゃお~っと」 俺は洗面所に行き、洗濯機の中に洗濯物をほおりこむと洗剤と柔軟剤を入れてボタンを押した。帰ってきたら干すだけの状態だしこれで良し。 「後は、何かやらないといけないことあったけ?ゴミは明日だし…買い出し?」 ブツブツと言いながらキッチンに戻って来てもう一度、冷蔵庫を開けて中身を確認した。 「まだ大丈夫か」 自分が食べるだけなら必要な食材は十分にある。なくなるのはパンぐらいか…。米もまだあるし…。ん~、完全に主夫してるね俺。まぁ、しょうがないんだけどさ。「うわ、時間だ」 ご飯食べてからゴソゴソとやってたらバスが来る時間になってた。

  • 蒼い華が咲く   38 家庭崩壊

    夜、俺は久し振りに公園ではなく夜の煌びやかな街へと彷徨い歩いていた。俺を待っていたであろう人物たちが次々と声をかけてくる。「蒼華さん、今夜は私と」「いいえ、私と」「俺たちとも遊ぼうぜ」蒼華の掟。それは相手をするのは一度だけ。だからそれを守れる者しか選ばない。必要以上に迫られるのも面倒だしね。遊び相手なら一度だけでいい。俺はどこにも根をつけない彷徨う蒼い華。だから相手をするのは一度だけでいい。自分で言うのもなんだけど、俺の記憶力は半端なくいい。だから一度、相手をした人物の顔はちゃんと覚えてる。だからそういうのは全部省いていくんだ。だから今夜もそうやって相手を選び彷徨っていた。抱いて、抱かれて、後腐れなく別れて…それが蒼華の俺…彷徨う蒼い華の俺…彷徨う夜の蒼い華…ある程度、遊び歩いて俺は小さく息を吐く。誰かにつけられてる。さっきから気付いてたんだけどね。「めんどくさぁ」俺は家とは反対の方向へと歩いていく。そんな俺の後をゾロゾロと着いてくる。翔ちゃんの言ってた成り上がりの不良グループか。あぁ、翔太に気をつけろって忠告受けなのになぁ。まぁ、しょうがないかぁ。俺はなにも知らないふりをして歩いていく。目的の場所まで…ふむ、ここならいいか。俺が行きついた場所は今は使われていない工場の跡地。ここなら誰にも見られることはないでしょ。まぁ、余計な心配はかけたくないし。あいつらの目的はわかってることだしね。別に初めてじゃないからいいんだけどね。前にもあったことだし。その後で思いっきりぶっ潰してやったけどさ。夜の連中が黙っちゃいない。ZEAが黙っちゃいないのさ。蒼華を守るZEAの連中がね。「そろそろ出てきたらどう?俺になんの用さ」俺は立ち止まって振り返り聞いてみる。その声に反応するようにゾロゾロと数人の男たちが出てくる。「あんたが蒼華なんだろ?俺たちも相手してくれよ」ニヤニヤとしながら言ってくる。あぁ、ホントめんどくさぁ「俺は高いよ?それでもいいならいいけど?好きにしなよ」ホントにめんどくさぁ。好きにしろよ。犯したきゃやりなよ。別にかまわねぇよ。別にこれが初めてってわけでもないしさ。「へぇ、じゃぁ楽しませてもらうぜ」リーダーの男がニヤニヤとしながら男たちに目配せをする。「好きにすれば?」答えるのも面倒だ。男たちは俺の言葉を聞くと我

  • 蒼い華が咲く   37

    「織田は食べないのか?」 突然、後ろから声を掛けられた。 「うわぁ、びっくり。拓ちゃんいたの?俺ね、お昼は食べれないの。原因不明の病気なんだ。お昼に食べると全部、戻しちゃうんだよね」 俺は振り返ってその理由を口にする。自分の事を人に話すなんて翔太以外に初めてだね。 「そうなのか…。手、出してみろ」 深く追求することもなく、言われたとおりに手を差し出せばコロンって飴が幾つか掌に転がった。 「拓ちゃん?」 意味がわからなくて聞いてみたら 「生徒会のお茶菓子の飴だ。これぐらいなら大丈夫だろ?」 拓ちゃんは説明してくれた。持ち歩いてるんだ。飴なら大丈夫だからコクリと頷いたら 「じゃぁな」 拓ちゃんは俺の頭を撫でて行ってしまった。 「もしかして俺のため?まさかね」 その背を見送ってからふと浮かんだ疑問に頭を振り考えるのをやめた。だって、俺がお昼食べれないことを教えたのは今日が本当に初めてだったから。 「偶然だよね」 俺は掌の飴をポケットにしまい教室へと戻った。自分の席に座り机の上にもらった飴を置く。 「優しいね。拓ちゃんも、金狼さんも…」 俺は机の上に置いた飴を一つ取り封を開けて口の中に含んだ。ほんのり飴の甘さが口の中を支配していく。俺はそのまま机にうつ伏して目を閉じた。「蒼樹、起きろ。蒼樹」 そんな声とともに軽く肩を揺すられて目を覚ました。 「ん~、なに?」 目を擦りながら聞いてみれば 「何じゃねぇって。授業が全部終わった。帰るだろ?」 翔太が苦笑を浮かべて教えてくれた。 「あっ、ホントだ。また寝てたよ俺。翔ちゃんノートまた貸してね」 翔太に言われて壁にかかってる時計を見て呟く。ホントに授業態度が悪いよね俺。 「これだからムカつくんだよお前。寝てるくせに頭がいいなんてよ。反則だ。それに強いし。お前に一個も勝てねぇよ俺」 翔太が呟きのように言ってくる。 「ん?妬み?僻み?だってしょうがないじゃん。俺にはその方法しかなかったんだもん」 翔太の言葉に今度は俺が苦笑を浮かべた。 「わかってるよ。そんなことぐらい。ただの愚痴だ。で?今夜はどうするんだ?」 俺の頭を撫でながら聞いてくるその言葉に俺は少し考える。 「ん~。彷徨い華?」 疑問形で答えるけど、それだけで翔太にはちゃんと伝わるからいい。 「あっそ。復活って

  • 蒼い華が咲く   36

    毎度のことながら怒涛の如くテストも終わり答案用紙が返された。そして、毎回恒例の順位表が廊下に貼りだされていた。「やっぱお前ってムカつく」順位表を見て翔太が呟く。「なんで?」言わんとすることはわかってるけど、つい聞き返しちゃった。「あの結果だよ!なんでお前あんなに成績がいいわけ?普段、授業はサボるは、話は聞いてないは、寝てるはってしてるヤツがよ!」張り出された紙を指さし言われた。「イヤ、ほら、翔ちゃんだっていいじゃん?」俺は翔太も人のこと言えないだろって意味を込めて言い返した。実際そうだしさ。「お前ねぇ、普段から真面目に勉強してねぇ不真面目なやつがクラスでトップの成績で、しかも学年で2位ってどうよ?ふざけてるだろ?」翔太が溜め息交じりに言ってくる。うん、耳が痛いなそれ。貼りだされた紙には各クラスの順位と学年順位が記されているのだ。俺はクラスで1位で学年で2位。勿論、学年トップは拓ちゃんだ。「そういう翔ちゃんはどうよ?クラス2位で学年で5位じゃないさ。人のこと言えないじゃん」俺は大袈裟に溜め息をついた。「アホ!俺は真面目に授業を受けてんの!お前と違って授業態度はいい方なの!」翔太は俺の首を絞めながら言ってくる。{あはは。だってさ、俺のはこれしかなかったんだもん…まぁ、全部が無意味だってわかってるけどさ」俺はやんわりと翔太の手を放す。そう、俺には勉強もテストの順位も無意味なもの。「お前、嫌みだ」ポツリと翔太が呟く。俺の家庭の状況を一番、よく知ってるからね翔ちゃんは…。「だって事実じゃん。翔太は知ってるでしょ?どんなに頑張ったところで俺には全部、無意味なんだってこと…」俺は苦笑を浮かべるしかできない。「だから余計にムカつくんだよ。お前の頭のよさとかは知ってるしわかってるけどムカつくんだよ」翔太がまだいう。俺は本当に苦笑を浮かべてることだけしかできない。「でも、拓ちゃんて本当にすごいね。全教科、満点だなんて。さすが、特Aクラスで生徒会長だけあるね」俺は貼りだされている拓ちゃんの成績を見て呟いた。「あいつは常連だからな。ってお前もか。毎回、上位にいるんだし。ってかいつからお前そんな呼び方するようになったんだ?」あっ、翔太に突っ込まれた。スルーしといてくれればいいのに。「ん?この間のチュー事件の後から。会長呼びが気に入ら

  • 蒼い華が咲く   35

    ピッ、ピピピッ「ん?んん??」 携帯のアラームに気が付き寝惚けたまま目を開けると目の前にキレイな拓ちゃんの顔があってビックリした。 「そうか、昨夜…」 俺は昨夜のことを思いだしジッと拓ちゃんの顔を見た。 「相変わらずキレイだねぇ。拓ちゃん朝だよ」 そう声をかけてみたら、ギュって抱きしめられた。 「た、拓真。時間、着替えに行かないと…」 俺はゴソゴソと動いて抵抗を試みた。 「そうだな、一度帰らないとな」 あっさりと俺を離し拓ちゃんが身体を起こした。 「ありがとうね、拓ちゃん」 俺は彼に向かって呟いた。いつの間にか傍にいてほしい時に俺の傍にいてくれるようになった人。俺が本気で好きになってしまった人…「気にするな。また学校でな」 拓ちゃんは小さく笑い俺の頭を撫でた。 「ん」 ちゃんと返事が出来なかった。寂しいっておもちゃったんだ。 「じゃぁ、帰るな」 拓ちゃんはベッドから降りると自分の持ってきた小物をポケットの中にしまっていく。俺も拓ちゃんを見送るためにベッドからおりて、玄関まで見送る。 「じゃぁ、遅刻するなよ」 拓ちゃんは俺の頭を一撫でしてから帰っていった。ありがとね。本当にありがとう。ほんのひと時でも俺は幸せだよ。俺は部屋に戻るとクローゼットの中から制服を取り出して着替えた。カバンには、昨日持って帰ったきた教科書とノートを入れてから部屋を出てキッチンへと向かう。教科書はまたロッカーいき。 「あっ、缶忘れた」 キッチンの机の上にカバンとブレザーを置くともう一度、自室へと戻り机の上に置いてある缶を持って戻ってきた。飲みかけの缶は中身を捨てて、飲んでない方はもう一度、冷蔵庫の中にしまった。そのついでに朝食のための食材を取り出す。 「あんまり食べたくはないんだけど…ハムエッグぐらいは食べれるかな」 一人呟いてハムエッグを作りながらパンを焼いていく。本当は一人で食べるご飯なんて味気がない。だけど、食べないとヤバいからね俺の場合。これ以上痩せてったら翔ちゃんに何を言われることやら…。俺は自分で作ったご飯をイヤイヤながら食べて、ブレザーに袖を通しカバンを持って家を出た。乗り込むバスはいつもと同じ時間のバス。流れていく街並みをバスに揺られて眺めていた。バスに揺られていつものように学園の前のバス停でおり、いつものように門の

  • 蒼い華が咲く   34

    「泊ってく?」 俺は自分の口から出てきた言葉に驚いた。金狼さんも驚いたようだ。 「あっ、やっ、無理にって言わないよ」 俺は慌てて弁解した。だって明日はテストだしね。そんな場合じゃないよね。 「いいのか?」 金狼さんは驚いたままで聞き返してきた。 「あ、うん。金狼さんがそれでいいならの話だけどね」 俺は門を開けながら答えた。だって無理強いは出来ないもん。 「お前が迷惑じゃないなら泊ってくが…」 金狼さんが苦笑を浮かべる。 「俺は平気。じゃぁ、上がって。俺のベッドだから狭いけどそこは我慢してね」 俺は家の鍵を開けて金狼さんを招き入れた。あっ、これで2回目かも…「お邪魔します」 金狼さんは靴を脱ぎ上がった。俺も鍵を閉めて靴を脱ぐ。 「ビール飲む?って酒類しかストックがない…」 なんて聞いてみる。 「イヤ、いい」 金狼さんは小さく笑った。 「じゃぁ、部屋いこ」 俺は金狼さんの返事を聞いて自分の部屋へと向かった。部屋の中に入り俺は盛大に溜め息をついた。 「ビール出しっぱだし…」 机の上に置かれっぱなしになって冷めてしまったビールの缶がふたつ。しかも片方は飲みかけ…。 「お前いつから寝てたんだ?」 なんて聞かれた。 「えっと…帰ってすぐに風呂入って寝たから4時ぐらいかな?」 俺は逆算しながら答えたら笑われてしまった。 「ちょ…笑いすぎだからね」 俺この人に笑われっぱなしだよ。 「やっぱり猫だな」 なんてボソッと呟かれた。その呟きはしっかりと俺の耳にも届いたわけで… 「もっ、もう寝ます!!!」 俺はそれを誤魔化すように布団に潜りこんだ。ごめん…今はまだ…俺に勇気がないから…「俺の寝場所は?」 まだ笑いながら金狼さんが近づいてくる。 「あっ、電気消さなきゃ」 俺がそう言って起き上がるけど 「あぁ、消してくる」 金狼さんの早くて先に消されてしまった。薄暗くなった部屋の中、金狼さんが戻って来て俺の隣に潜り込む。恥ずかしくて、金狼さんに背中を向けてたんだけど 「蒼樹、こっち向けよ」 なんて急に耳元で名前を囁かれて俺の心臓は爆発寸前。 「っ、それ反則だからね!」 俺は熱くなった耳を押さえながら身体の向きを変えた。その途端にギュって抱きしめられた。煩いぐらい心臓がバクバクしてる。 「今は…今は何も言

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status