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第8話(43)

Author: 北川とも
last update publish date: 2025-12-11 17:00:24

 熱い吐息をこぼしながら和彦は、三田村の逞しい欲望に舌を這わせる。何度も根元から舐め上げ、ときおり舌を絡みつかせ、吸い付き、ひたすら三田村の快感のために尽くす。

 三田村にこの愛撫を施すのは、初めてだった。いままで、和彦のものを丹念に愛してくれながら、三田村は自分がされることを望まなかったのだ。なんだか申し訳ない、という理由は、いかにも三田村らしいと言える。だが今日は、和彦が頑として聞き入れなかった。

 最初は慣れていない様子でベッドの上にあぐらをかいて座り、緊張している素振りすら見せていた三田村だが、欲望の高ぶりとともに、和彦の愛撫を受け入れる気になったらしい。

 何度も優しい手つきで髪を梳いてくれていたが、その手が後頭部にかかり、わずかに力が込められる。三田村の求めがわかった和彦は、透明なしずくが滲んだ先端を丹念に舐めてから、ゆっくりと三田村のものを口腔に呑み込んでいく。濡れた粘膜で包み込み、吸引しながら、唇で締め付ける。興奮した三田村のものが、口腔で力強く脈打つ。和彦はゆっくりと頭を上下させながら、三田村の欲
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     三田村の物言いたげな雰囲気が伝わってくる。しかし、それを実際に言葉として発しないところに、三田村の優しさを感じる。 その優しさに報いるため、和彦は言葉を選びながら話す。「佐伯俊哉。ぼくのことを調べたときに、父さんのことも調べたんだろう。大物官僚で、怖いぐらいの切れ者だ。子飼いの官僚が何人もいて、一大派閥を作り上げて、政治家に対しても影響力がある。傲慢で野心家、氷のように冷たい。でも――」「でも?」「ものすごく、ハンサムなんだ。家柄も仕事にも恵まれていて、そのうえ外見もとなると、女性が放っておかない。父さんの傲慢さや冷たさは、女性にとっては魅力的らしい。自分は結婚していて、子供がいようが関係ない。気に入った相手と関係を持つ。堅いイメージに守られた佐伯俊哉の本質は――奔放さだ」 守光から、俊哉の女性関係の処理について聞かされたとき、驚きはしたものの、その内容をすぐに信用したのは、このためだ。和彦は、父親の実像を嫌というほど把握している。「……見た目はまったく似てないけど、ぼくと父さんは、こういう部分でよく似ている。性的な禁忌に対する感覚が、きっと壊れているんだ」 三田村に肩先を撫でられたあと、ぐっと掴まれる。驚いた和彦が顔を上げると、三田村は厳しい表情でこう言った。「壊れているなんて、言わないでくれ。俺はずっと、先生の愛情深さに心地よさを感じている。先生の本質も奔放さだというなら、俺はその奔放さが、愛しくてたまらない」 和彦は瞬きも忘れて三田村の顔を凝視してから、小さく声を洩らして笑う。「すごい口説き文句だ」「そんなつもりはないが……、でも、本心だ」 笑みを消した和彦は、三田村の頬を撫で、あごにうっすらと残る傷跡を指先でなぞる。何かが刺激されたように三田村がゆっくりと動き、和彦の体はベッドに押し付けられた。 きつく抱き締められ、その感触に意識が舞い上がるほどの心地よさを覚えながら、和彦は両腕を三田村の背に回す。「あんたのことも聞きたい」「俺のこと?」「あんたの父親のこと」 三田村は一瞬痛みを感じたような顔を

  • 血と束縛と   第10話(33)

    「それでもいいんですよ。俺にとっては、ホストクラブなんかで先輩風を吹かして、生意気なガキの面倒を見てくれて、今も腐れ縁が続いている程度のもので。過去は、どうでもいい」「――厄介な過去を背負っていたとしても?」 意識しないまま、和彦はつい鋭い問いかけをしてしまう。呼応するように、中嶋から鋭い眼差しを向けられた。「先生やっぱり、何か知っているんですね」「いや、そういうわけじゃ……」「ついでに聞かせてください。先生と秦さんの間に、何があったのか」 和彦は視線をさまよわせ、汗で湿っている髪を掻き上

    last updateLast Updated : 2026-03-26
  • 血と束縛と   第10話(36)

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    last updateLast Updated : 2026-03-26
  • 血と束縛と   第10話(11)

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    last updateLast Updated : 2026-03-26
  • 血と束縛と   第10話(18)

     立ち上がりかけた姿勢で、反射的に鷹津の顔を凝視してしまう。この時点で和彦の厄介な好奇心は、わずかながら鷹津に対する嫌悪感を上回っていた。 ちらりと中嶋を見ると、和彦が帰ると思ったのか、同じく立ち上がりかけている。なんでもない首を横に振って見せ、和彦はイスに座り直した。満足そうに鷹津が頷く。「……秦のことで何か知っているんなら、早く話せ」 和彦の言葉に、もったいぶるようにゆっくりとコーヒーを啜った鷹津は、ようやく口を開いた。「家具屋で会ったときは、なんとなく、どこかで見たツラだな、というぐらいにしか感じなかったん

    last updateLast Updated : 2026-03-26
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