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第4話

Author: ボケちゃん
誕生日パーティーが終わって家に戻ると、風真は突然私を抱きしめてキスをしてきた。

その後、彼は真剣な目で私を見つめた。

「美咲、お前は唯一無二の存在だ。誰もお前には敵わない」

私は呆然と彼を見つめた。彼はまるで私のことをよく知っているみたいだった。

私が何を食べるのが好きか、どんな色が好きか、どんな映画が好きかは全部知っていた。

再び風真はキスをしてきて、私はそっと彼の腰に腕を回した。

その瞬間、彼の背中が一瞬ピクリと硬くなったと思ったら、次の瞬間、彼は私をぐっと抱き上げて、そのまま彼の部屋に運んでいった。

哲也は私にとって初めての男だった。そして唯一の存在でもあった。

けれど彼は私を他の人に押し付けた。

それなら、もう男を替えてしまえばいい。

私と風真の関係は急速に進展し、まるで本当の恋人同士のようになっていった。

再び週末になり、みんなでリゾートに行くことにした。

民宿に泊まる時、哲也は険しい顔で風真を呼び止めた。

「本当に一緒に泊まるつもりか?部屋は別にした方がいい」

風真は笑って言った。

「ただ一つの部屋で寝るだけさ。何をそんなに心配してるんだ?」

翌朝、哲也は冷たい声で風真を呼び出した。

私はちょうど階段を下りるところで、彼らの会話が聞こえてきた。

「風真、僕はお前を兄弟みたいに思ってたのに、まさか僕の彼女と寝るなんて!」

風真は鼻で笑った。「お前の彼女は玲奈だろ?僕のことを汚すなよ」

「風真!これは冗談じゃない!」

哲也は怒りに満ちた声で言った。

「もう美咲の彼氏のフリなんてやめろ!」

「へえ、それをどうやって彼女に説明するんだ?『もう飽きたから他の女と遊びたい』って理由で、僕を彼氏に仕立てたって?」

風真は皮肉っぽく笑った。

「お前、言えるのか?」

「お前!」

風真は続けた。

「お前にはもう新しい彼女がいるじゃないか。しかも、かなり気に入ってるみたいだったな。自分でそう言ってた」

哲也は声を荒げた。

「玲奈とは最初から一時的な関係だって分かってた!僕は美咲を諦めたなんて一言も言ってない。彼女が愛しているのは僕なんだ!お前、あんなに彼女のこと嫌ってたじゃないか、なのに今さら寝るなんて!」

風真は笑った。

「僕は一言も嫌いなんて言ってない。お前が勝手にそう思ってただけだ」

哲也は怒りで声を荒げた。

「まさかお前にそんな下心があったとは思わなかったよ!まるで火事場泥棒だな!」

「哲也、勘違いするなよ。最初に『僕が彼氏だ』って嘘をついたのはお前だろ?お前自身が自分の彼女を僕に押し付けたんだ。だったら、お前は玲奈と付き合えばいい。僕は美咲と付き合う。それで万事解決じゃないか」

哲也は冷笑した。

「今すぐ玲奈と別れて、美咲を取り戻す。彼女は僕を愛してる。絶対にお前なんかとくっつかない!」

私は食堂の一角で朝食を食べながら、それを静かに聞いていた。

そしてふと視線を移すと、哲也の部屋のドアの影からこっそり話を聞いていた玲奈が、哲也の言葉を聞いた瞬間、動揺してその場を走り去った。

午後になって、玲奈が「河辺を一緒に歩こう」と誘ってきた。

そして突然スマホを差し出してきた。

「美咲、これ、見せたいものがあるの」

彼女のスマホには、哲也との親密なツーショット写真が並んでいた。

私はスマホを返しながら訊いた。

「どういう意味?」

玲奈は冷たく笑った。

「哲也こそ、あなたの本当の彼氏よ。こんなにラブラブな写真があるんだから。哲也はあなたを騙してるの!あなたの彼氏は風真なんかじゃなくて哲也です!ただ、あなたが記憶を失ったことを利用して、風真に押し付けたの。そうすれば自分は自由になれるでしょ?風真は哲也とグルになって、あなたを騙してたのよ!完全に遊ばれてたの!笑い者だよ!

私は友達として見てられないの。だからこうして真実を教えてあげてるのよ。これ以上騙されないで!」

玲奈は一気にすべてを吐き出すようにまくし立てた。

きっと、真実を知った私が傷ついて去っていくと思ったのだろう。

だが、私は表情一つ変えずに、微笑みながら答えた。

「それがどうしたの?今、私は十分幸せよ。風真だって、哲也に劣らない」

玲奈は信じられないという目で私を見つめた。

「それでもいいの?」

そして、何かに気づいたように、口ごもりながら言った。

「まさか、本当は記憶を失ってなんかいないんじゃ?」
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