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第28話

作者: 猫ちゃん
拓也は気持ちを落ち着かせ、笑みを浮かべた。

「彼女はここにいるんだから、直接お礼を言ったらどうだ?」

「二宮家は落ちぶれたとはいえ、元は名家だ。食事中は喋らないという家訓がある。俺たち黒崎家みたいに、行儀作法がないわけじゃない」空は顔も上げずに淡々と言った。「お兄さんは食事中、平気で話し始めるけど、二宮家でそんなことをしたら、ひどく叱られるだろうな」

二宮家のしきたりも、さすがにそこまで厳しくはないのだが。

でも、そんなこと、黒崎家の人たちが知るわけないでしょ?

凪は空の言葉に乗って顔を上げた。拓也は見ずに、忍の方を向いて軽く頭を下げた。

忍はこの二人の息の合ったやり取りを見て、箸を置いた。

「二宮家と比べると、うちは確かにしきたりが少ないな。拓也、帰国したばかりなんだから、食事を楽しんでゆっくりして」

「はい」拓也は先ほどやり込められたので、今はおとなしく、下手に口を開けなかった。

「空、これからは仕事ばかりじゃなく、凪のことももっと大事にして」

「はい」

空もそれに続いた。

これでようやく拓也の表情が少し和らいだ。彼の考えでは、空が会社の仕事から離れることは
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