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第12話

Author: 玉井べに
夕星は立ち上がって去ろうとしたが、凌に押し戻された。

「凌?」夕星は戸惑いを隠せなかった。

昼間はあんなに不愉快なやりとりをしたばかりだった。

こんなに親密にされることに耐えられない。

もう一度立ち上がろうとした夕星を、凌は再び強く引き戻した。

今度は力がこもり、彼女はその胸に倒れ込み、親密で曖昧な体勢になる。

凌の大きな手が夕星腰を押さえ、もう立ち上がれなかった。

夕星は苛立ち、冷えた目で夫を見上げた。「楽しい?」

凌は答えず、唇を重ねた。熱を帯び、絡むようなキス。

けれど夕星は、拒むこともなく、応じることもなかった。

興味を失った凌は唇を離す。

彼は夕星の長い髪を撫で、低く掠れた声で言った。「夕星、家で何不自由なく暮らすのは悪いことか?」

地位も財産も与えるつもりだった。

ただ彼女が従順に従うならば。

夕星は視線を落とす。閉じた本の表紙には「調香」の文字が映った。

本当に従順なだけの妻でいたいなら、二年前、凌が叔父や異母兄弟を押しのけて後継者としての立場を掴んだとき、もう身を引いていた。

三年も一緒にいて、凌は夕星を理解していなかった。

或いは、そもそも知ろうともしなかったのだろう。

夕星がどれほど調香を愛しているか。異なる香りが重なり、新しい香りを生み出す過程に、どれほど心を奪われているか――凌には知らない。

夕星はゆっくりと身を起こし、白い指先で黒髪を整えた。

「凌、雲和を支援したいなら、私は何も言わないわ」穏やかで、どこか遠い声だった。

まるで三年前、結婚したばかりの頃のように。見知らぬ者同士が、突然法律だけで最も近い関係になった。

あの時、夕星はこんなだった。

優しく話し、柔らかく笑うが、常に距離を置いたまま。

凌の顔からは表情が消え、夕日の橙色が褪せて、そこにあった温かさが消え失せた。代わりに圧し掛かるような怒気が広がる。

こんな夕星は見たくなかった。

彼が望むのは、笑顔で、のびやかな妻だ。

夕星は本を棚に戻し、白いスカートが薄暗い部屋の中で揺れて静まった。

夕星は静かな声で告げる。「離婚届をテーブルに置いてあるわ。目を通して」

少し考えたあと、言葉を足した。「財産はいらない。その代わり、会社の二十四節気の香水シリーズは私が持っていく」

これが彼女の唯一の条件だった。

心血を注いだものを、雲和に残していくつもりはなかった。

鈍い音とともに、書斎のドアが固く閉ざされる。凌の端正な顔は暗く沈む。

彼は額に手を当て、長いあいだ黙って座り込んでいた。

窓の外では、ぱらぱらと雨粒が落ちはじめ、夜空には黒雲が渦を巻き、大雨が近づいていた。

夕星は身支度を整えるとベッドに横になった。スマホには澄香からのメッセージ。

辞職を知った澄香は怒りながら凌を罵り、明日澄香のスタジオへ、服を二着新しく作ると言ってくれた。

その気遣いに夕星の胸は温かくなり、少し心が軽くなった。

スマホを置くと、ほどなく深い眠りに落ちた。

……

真夜中、夕星は突然目を覚ます。

稲光が走り、そのすぐ後に雷鳴が轟いた。

夕星は布団を強く握りしめ、薄暗い部屋で顔が青ざめる。どこからともなく湿気が忍び寄り、全身をじっとりと包み込み、息苦しくなった。

雷の音が増すたび、骨の奥に痛みが走り、四肢にまで広がっていく。

夕星はお腹を押さえ、体を丸め、白い唇を歯で噛み締めた。

まるであの夜に戻ったようだった。

「この子」全身を震わせながら、彼女はかすかに呟く。「お腹のこの子を助けて」

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