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14.秘められた家族

last update Last Updated: 2025-09-21 20:03:01

「話というのは、何だ。手短に言ってくれ」

リビングに入るなりすぐさま本題に入る律に、分かっていながらもムッとした。彼は私に背を向けたまま、ジャケットを脱ぎ、ネクタイをゆるめている。話を聞く気はないらしい。

「叔母様の好みを知らないなら、せめてお写真とかないの?服装や雰囲気からイメージを考えたいの」

私の言葉に、律は少し意外そうな顔をして手を止め、テーブルに置いたスマホを取って何かを探してくれた。

「親戚の結婚式で親族一同で撮った写真があった。真ん中の緑の服を着ているのが叔母だ」

見せられたのは、五十人をゆうに超える大勢の親族が映る集合写真だった。顔と首元までしか映っておらず雰囲気を掴むのは難しいが、無いよりはマシだ。

とても還暦には見えない、肌も髪も綺麗に手入れされた上品な女性が、新緑のように鮮やかな緑色のノースリーブのワンピースを着て微笑んでいる。五十代でノースリーブを着こなすのは相当美意識が高く、自信があることがうかがえる。

「それにしても、すごい人数ね。映っているのは全員親族なの?」

「ああ。俺もほとんど知らない」

これだけたくさんの親族がいるなら、知らない人がいても無理はない。そう思いながら写真に目をやっていると、中央には、律の姉の香澄さんや、彼女と同い年くらいの女性が微笑んで

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    会社の車で家まで送ってもらい、ドレスとスーツを脱ぐために寝室に入ってから、律にふと気になっていたことを尋ねた。「そういえば、合コンの時に私が覚えていなくても話をすれば思い出すかもしれないのになんで言わなかったの?」律は一瞬動きを止め、不貞腐れたようにこちらを見てからジャケットを脱ぎ始めた。「そんなの……あの時、凜が興味があったのは俺じゃなくて大手企業に勤めて若くして肩書きを持つ『蓮見律』だと思ったからだ。名刺を受け取って目の色を変えた凜を見て、お金があって何でも出来る男を求めていると思った。だから、かっこよくないところを見せたら幻滅されると思ったんだ。」そう、あの時、私は高収入で清潔感があり、背も高く顔もいい、見た目とお金の両方を持ち合わせたスーパーダーリンを求めていた。そんな私が、男子にからかわれて小さくなっていた中学の同級生と出くわしても恋愛には発展しなかっただろう。「ふふふ、そうだったんだ。でも、これからはかっこ悪いところも全部見せていいよ。私が好きで一緒にいたいのは、ありのままの律なんだから」律はネクタイを外してシャツのボタンに手を掛けていたが、私の言葉を聞くと甘えるようにすぐさま抱き着いてベッドに押し倒してきた。「ありがとう、凛。好きだ、愛している―――――」「私も。律のことが大好き――――」

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