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16.富裕層は外商ですべてが解決する

last update Last Updated: 2025-09-22 20:03:46

「訪問の服はどうするの?律さんは決めた?」

「そんなの外商に連絡して持ってこさせればいい」

「外商って、富裕層を専門に営業するあの外商?担当者がいるの?」

「それが何だというんだ」

さも当たり前かのように言う律に、私は興奮を抑えきれずに両手で彼の力強い手をぎゅっと握りしめた。

「それ、私も受けたい。私の分も用意するように頼んで!」

「センスには自信があるんだろう?それなら勝手に選べばいい」

律は、顔を背けて私の言うことを聞こうとしない。私は、律の手を離さずに、逸らした顔を近づけてから続けた。

「違うわ。これは夫婦で出席する初めての会よ。夫婦で雰囲気や色合いを統一してこそ、真の夫婦だと思うの。いわば、夫婦初めての共同作業よ!」

外商がどんなものか体験してみたいだけだったが、そのことは隠して説得を試みる。私の熱弁と強い視線に律は諦めたように深く息を吐いた。

「来週の木曜日だ。空けておけ」

相変わらず口は悪いが、私の願いを聞いてくれたことが嬉しかった。この時、律との距離がほんの少しだけ近付いたような気がした。し

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