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第4話

مؤلف: ポップコン
電話の向こうからは、母がギャーギャーと捲し立てる声と、姑が慌てて言い訳をする声が聞こえていた。

私が病院に着いたのは、ちょうど食事時だった。和也は個室のレストランを予約していた。

個室の入り口まで行くと、母が腰に手を当てて、和也と姑に向かって怒鳴りつけているのが見えた。

「あんたたち、うちの娘にこんな仕打ちをして、恥ずかしいと思わないの!?」

姑はぶんぶんと手を振っている。

「あの子は両親もいなくて、心臓病だなんてあまりに不憫で、それでご飯を作ってあげただけなのよ。絶対に誤解しないでちょうだい」

うちの母は戦闘力が高い。今度は和也に攻撃の矛先を向けた。

「じゃああんたはどうなのよ?患者の世話をしてるうちに、体ごと世話するようになったわけ?私がいなかったら、あんたたち、いつまで抱き合ってたのよ?」

和也はこめかみを揉みながら説明した。

「彼女は治療を終えたばかりで、足元がふらついてたんだ。だから、ちょっと支えてあげただけだよ」

母は目を吊り上げて怒る。

「都合のいい言い訳ばかり、よくもまあ親子揃って言えるわね!それじゃあ、私と遥香が悪者だって言うわけ!?」

姑は戸口の外にいる私に気づき、慌てて私の手を握った。

「遥香さん、誤解しないで……」

私は微笑んだ。

「誤解なんてしてませんよ。それに、怒ってもいません。医者として、医者の家族として、当然のことですから」

私の顔に浮かんだのが心からの笑みだと分かると、姑は驚いて目を瞬かせ、一言も発せなくなった。

何しろ、以前の私は、いつも彼女の元へ駆け込んでは泣きついて不満をぶちまけていたのだから。

彼女はしばらく私を値踏みするように見ていたが、最後は気まずそうに席に座り、黙り込んでしまった。

私も母の手を引き、安心させるように一つ頷いてみせた。

その時、個室のドアが開き、和也の同僚たちが美咲を連れて、からかうように入ってきた。

「和也、どうして奥さんを一人で個室の外に放っておくんだよ。ひどいじゃないか」

その中には、私と和也の結婚式に参加した医師も数人いて、私を見るなり、顔から笑みが凍りついた。

美咲は中へ入ってくると、堂々とした様子で言った。

「あなたが遥香さんですね。誤解しないでください、みんな冗談で言ってるだけですから。一条先生は医者としての情が深いだけで、私たちのような病気に苦しむ人間が辛い思いをするのを見ていられないだけなんです」

そのセリフには、あまりにも聞き覚えがあった。

二年前、和也に夢中だったある女性患者も、全く同じ手口を使った。吹雪の夜に、和也を呼び出したのだ。

その夜、妊娠八ヶ月だった私は、高速道路の上で立ち往生していた。

和也は、私からたった一キロの場所にいた。しかし彼は、生命の危機を装ったあの女性患者を助けるために、踵を返したのだ。

もうすぐ会えるはずだった私の赤ちゃんは、その夜、私と死に別れてしまった。

慌てて駆けつけた和也は、私を慰めるどころか、私に向かって怒鳴りつけた。

「妊娠八ヶ月にもなって、なんで外出なんかするんだ!馬鹿な真似をしやがって!

俺は医者だ。患者の安全が最優先なんだよ。医者の家族として、それくらいの常識もないのか!」

苦しい記憶が心を切り裂き、目の前の男を見ても、もはや憎しみさえ湧いてこない。もう、心の底からどうでもよくなってしまったからだ。

私は母の腕を取り、その場を去ろうとした。しかし、美咲に腕を掴まれた。

「遥香さん、私のことは怒ってもいいです。でも、一条先生のことだけは誤解しないでください」

彼女の手首についた腕時計が、先月、和也が私に贈ったものと全く同じであることに、私はすぐに気づいた。

和也の目に一瞬、動揺が走った。彼は慌てて私の腕を掴む。

「この時計は、一つ買ったらもう一つ付いてきたんだ。君は二つも着けられないだろうから、ついでに彼女にあげただけだよ」

私は彼を一瞥するのも億劫で、「うん」とだけ返事をして、美咲と彼の手を振り払って行こうとした。

その時、美咲が甲高い声をあげた。

「一条先生、ごめんなさい。あなたのペンダントを、落として割ってしまいました」

私が床に目をやると、そこには翡翠のペンダントが転がっていた。それは和也の亡き父の形見で、彼は普段、滅多に人に見せることはなく、私でさえ触れることを許されなかった。

そして、ペンダントが通されていた赤い紐は、今も美咲の首にかかっている。その赤が、目に突き刺さるようだった。

和也は完全にうろたえ、慌てふためいて私を引き留めようとする。

私は彼の手を避け、皆に向かって、ゆっくりと口を開いた。
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