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第9話

Author: ざざ
以前なら、朱莉はいつもソファで佐久都の帰りを待っていた。

玄関の音を聞けば、すぐに駆け寄って迎えてくれた。

だが今、家の中には物音一つなく、照明さえついていなかった。

胸に嫌な予感が広がった。

佐久都はケーキを置き、家中の明かりをつけると、一部屋ずつ朱莉を捜した。

「朱莉ちゃん、どこにいる?頼むから出てきてくれ。今日のことは俺が悪かった。本当に大事な用だったんだ。きちんと説明するから、出てきてくれ」

声だけが、空っぽの家に響いた。

佐久都は慌ててスマホを取り出し、朱莉に電話をかけた。

「おかけになった電話は、電源が入っていないか、電波の届かない場所にあるため、かかりません。しばらくたってからおかけ直しください」

何度かけても、結果は同じだった。

リビングへ戻ると、テーブルの上に小さな白い棺があることに気づいた。

急いで近寄った佐久都は、白い棺のそばに置かれた離婚届受理証明書を見つけた。

震える手で手に取り、記載された名前を確かめると、そこには自分と朱莉の名前があった。

どういうことだ。

いつ離婚届を出された?

最近の出来事を必死に思い返す。

あの書類だ。
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