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第66話

Author: るるね
last update publish date: 2026-10-01 00:05:03

 千温も、優和が最後に料理を作ってくれたのがいつだったのか、もう思い出せなかった。

 優和は冷蔵庫に残っていた食材で粥を炊き、胃に負担のかからない簡単な副菜もいくつか用意した。

 丸一日、何も口にしていない。しかも、つい先ほどまで優和に抱かれていた千温には、スプーンを持ち上げる力さえ残っていないようだった。

 白い指が、柄を握ったまま微かに震えている。

 優和はその手をしばらく黙って見つめた。

 やがて何も言わずにスプーンを取り上げると、粥を一口分だけ掬い、冷ますように軽く息を吹きかけてから、千温の口元へ差し出した。

「喉に詰まらせるなよ。ゆっくり食べろ」

 千温は従順に唇を開き、差し出された粥を大人しく飲み込んだ。

 温かな粥が喉を通るたび、空っぽだった胃だけでなく、冷えきっていた身体の内側まで、少しずつ温められていく。

 優和は急かさなかった。

 千温が飲み込んだことを確かめてから次の一口を掬い、何度も同じように口元へ運んでくれた。

 空腹がいくらか和らぐと、千温はぼんやりと顔を上げ、目の前にいる優和を見つめた。

 口元に残った粥を拭う指先は、驚くほど優しい。

 その姿を眺めてい
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