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第383話

Auteur: 炭酸が抜けたコーラ
心愛は一度言葉を切り、ゆっくりと顔を上げて暁を見つめた。

「でも、あなたがここまで道を切り開いてくれたんだもの。私だけ、いつまでもあなたの後ろに隠れているわけにはいかないわ」

暁は彼女を見つめたまま、すぐには何も答えなかった。

数秒の沈黙のあと、ようやく静かに口を開く。「私に合わせようとして、無理に前へ出る必要はない」

「分かってるわ」

心愛の声は決して大きくなかった。

けれど、不思議なくらい落ち着いていた。

「これは、私自身の意志なの。一歩踏み出したいって思ったのよ」

「覚悟はできているんだな?」

「ええ」

「この先また、誰かに罵られるかもしれない。監視されるかもしれない。この件を口実に、悪意を向けられることだってある」

「だったら言い返すわ」

心愛は真っ直ぐに彼を見返した。

「もし言い負かされそうになったら、その時はあなたがいるでしょう?」

その言葉に、暁の口元がようやくわずかに緩んだ。

瞳の奥に沈んでいた鋭さが少しだけ和らぎ、張り詰めていた空気が静かに解けていく。

「……いいだろう」

彼は手を伸ばし、心愛の手の甲を大きな掌でそっと包み込んだ。

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