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第219話

Author: タロイモ団子
そう言うと、渚は顔に痛ましげな表情を浮かべる女を見つめた。

だが心の中では、冷ややかに鼻で笑っている。

――チョロいもんだ。これほど簡単に感動するとはな。何の歯応えもない。馬鹿な女だ。

紬は仕方なさそうに口を開いた。

「……わかった。お引き受けするわ」

――一品につき十万円。ふん、なんて絶好のカモかしら。

紬には、彼に「家庭の温もり」を感じさせてやるような暇などない。

その辺の出前でも適当に注文して、体裁だけ整えて出せばいい。これほど割のいい稼ぎはない。

全身に傷を負いながらも、渚は念を押すことを忘れなかった。

「今日はもう遅いから、先に帰って。必ずタクシーを呼ぶんだ。女の子が一人で夜道を歩くのは危ないからね」

「ありがとう」

紬は何かを言いかけて、言葉を飲み込んだ。

渚はその様子を察して、優しく問いかける。

「どうした?」

紬は首を振った。

「いえ、何でもない。白石さん、どうして私を助けてくれたの?」

――来たな。

渚の瞳に一瞬、光が宿る。

「大したことじゃないよ、紬さん。他意はない」

「いいえ、そういう意味じゃない」

紬は慌てて付け加えた。

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