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第3話

Author: 浪川
買ってきたカツサンドの箱を置いた途端、蓮司が背後から貼るように抱きついてきた。温かい唇が、私の耳の輪郭を軽くこする。

「雪乃、お疲れ様」

私は驚いて、強張った体で彼を押し退けた。

彼はきょとんとする。

「どうした?」

「……なんでもない」

私は予備のおしぼりを彼に手渡した。

「早く食べないと、パンが湿気っちゃうわよ」

蓮司は口角を上げ、笑った。

「雪乃がわざわざ遠くまで行って買ってきてくれたんだ。湿気てても全部食うよ」

彼はカツサンドを一口頬張る。私が味はどうだと聞くと、彼は頷き、私の顔を立てるように絶賛した。

「うん、やっぱこの味だよ。懐かしいな」

私はうつむき、心の中で冷笑した。

だってそれは、私が病院の下のコンビニで適当に買っただけのものなのだから。

以前の味なんて、するはずがないのに。

蓮司が退院する日、多くの友人や長年のビジネスパートナーが駆けつけた。白石莉奈(しらいし りな)もその中にいた。

だが、最初の一瞥を除いて、蓮司は終始彼女に視線を向けることはなかった。

莉奈は部屋の隅で、落ち込んだ様子を見せている。

ところが、ある取引先の社長が蓮司に祝杯を勧めようとした瞬間、彼女は突如として立ち上がり、蓮司の手からグラスを奪い取った。

「田中社長、如月社長は退院したばかりですので、この一杯は私が代わりにいただきます!」

言い終わるや否や、彼女は独断で酒を飲み干してしまった。

その場にいた全員が沈黙し、複雑な表情で、蓮司の隣に座る私を見た。

「彼女は?」

蓮司は表情一つ変えず、笑顔で答えた。

「うちに入ったばかりのインターンです。新人なもので、至らない点がありまして……田中社長、どうかご容赦ください」

ここにいるのは海千山千の古狸ばかりだ。彼の言葉の端々に滲む「庇護」のニュアンスを聞き逃すはずがない。

田中社長は顔を立ててグラスを空け、酒席の空気は再び温まった。

蓮司はテーブルの下で、無意識を装って私の手を握り、軽く指を絡めてきた。

「まったく、誰が採用したんだか。あんな空気の読めない新人がいると困るな。あんなに前のめりで」

私は笑うともなく言った。

「へえ……なら、クビにすれば?」

私を握る彼の手が、微かに止まった。

私は表情を変えず、そっと手を引き抜いて笑った。

「冗談よ。新人なんだから、成長する時間を与えてあげなきゃね」

彼は私をじっと見つめ、何かを探るような顔をした。彼が口を開きかけた時、私は席を立った。

「少し疲れたわ。先に帰る」

彼の返事を待たずに、私は笑顔で周囲に挨拶をし、個室を後にした。

一階まで降りてスマホがないことに気づき、鞄を個室に忘れたのを思い出して引き返した。

階段の踊り場を通りかかった時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。私は思わず足を止めた。

「雪乃の前に現れるなと言っただろう。どうしてそう言うことを聞かないんだ」

「だって、私もお迎えしたかったもん」

莉奈は蓮司の胸に顔を埋め、華奢な体を震わせて泣きじゃくっている。

「蓮司……会いたかったわ。

なのに、どうして今日はそんなに冷たいんの?私、苦しい……」

それを見た蓮司の表情が緩んだ。

「泣くなよ」

彼は莉奈の涙を指で拭う。その声には、隠しきれない優しさが滲んでいた。

「言っただろう。雪乃の目の前で騒ぎさえ起こさなければ、君の望みは何でも叶えてやるって」

「じゃあ、私いい子にするわ。だから今日、私と一緒にいてくれる?」

彼女は蓮司の手を取り、自分の胸に当てた。

「今夜はご主人様のために、とびきりの『ご褒美』を用意したの……試してみたくない?」

蓮司の瞳の色が濃くなる。彼は不意に彼女の首筋を掴み、その唇にキスを落とした。

「キレイに洗って待ってろ」

莉奈は両腕を彼の首に回し、ねっとりとキスを返した。

そして、その潤んだ瞳で、勝ち誇ったように、挑発的に……真っ直ぐ私の方を見ていた。

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