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第1013話
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離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1029話
「ええ」清水霞はきっぱりと答えた。そして、もう一度念を押すように言った。「ええ、私は今、若い男が好きなの。あなたには関係ないでしょ？私たちはとっくに離婚しているんだから、お互い干渉しないのが常識でしょう。あなたが藤井さんと付き合うのを、私は止めなかったわ。だから、あなたも私の恋愛に口出ししないで」「恋愛？」桐島宗助は冷笑した。「霞、お前みたいな女が、こんな青二才と恋愛だと？彼は女をわかってるのか？お前の年齢の女の性欲を満たせるのか？」「私のプライベートについて、あなたに話す義務はないわ。それに、言葉には気を付けて」......清水霞はもう相手にしたくなかった。確かに彼とは過去があった。良い思い出ばかりではないけれど、悪い思い出ばかりでもない。しかし、それも今は過ぎ去った遠い過去のこと。時々、思い出に浸ることはあるけれど、もう戻るつもりはない。そうでなければ、自分がB市に来た意味がない。彼女は踵を返し、相沢佑樹の方へ歩いて行った。夜。若い男はウォッシュドデニムにシンプルな黒のTシャツ姿で、スラリとした鍛え上げられた体格が際立っていた。二人は並んで立っている。片方はフォーマルな服装、もう片方はカジュアルな服装なのに、不思議と調和している。まるでネットでよく言われる「大人の女性と年下男子」のようだ。相沢佑樹は桐島宗助の方を見た。もちろん彼はこの男のことを知っていた。清水霞の元夫であり、H市で有名な桐島宗助だ。男は男の気持ちがわかるものだ。桐島宗助の未練と悔しさを、相沢佑樹は見逃さなかった。何も言わず、清水霞の細い腰を抱き寄せ、優しく言った。「他に予定がなければ、送っていくよ」清水霞は小さく頷いた。彼女は眉を揉みながら、微笑んだ。「お酒を少し飲んだから、頭がちょっと痛いの。すぐにベッドに倒れ込んで寝ちゃいたいくらい......今週は本当に忙しかった」彼女は普通の口調で言っているのに、なぜか甘えているように聞こえる。相沢佑樹は彼女を見下ろした。若い男は精力旺盛で、付き合っている時は24時間ベッドで過ごしたいと思うものだ。しかし彼は、清水霞が仕事で成功したいということも知っている。彼女はそういうことばかりを求めるのが好きではない。だから彼は、その点ではぐっと我慢している。彼女に気に入られるよ
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1028話
【桐島さんと藤井さん、まさに美男美女だ】【芸能界にも愛はあるね】【桐島さんのプロポーズに使われたダイヤの指輪は、なんと8カラットもある】......5月末、街中が桐島宗助の再婚のニュースで持ちきりだった。もちろん、清水霞もそのニュースを目にした。しかし、彼女は落ち着いていた。桐島宗助とは既に離婚し、関係も悪化している。もはや他人同士なのだ。祝福する気はないが、心を乱すこともない。彼女は仕事に打ち込み、芽依の世話をしていた。芽依の戸籍登録も済ませ、名前は清水芽依にした......芽依がもう少し大きくなったら、芝生の庭のある家に引っ越して、彼女が好きな子犬も飼おうと考えていた。もちろん、清水霞には言い寄ってくる男もいる。芽依のために父親代わりを見つけるという考えを捨て去った清水霞の周りには、背が高くてハンサムで、しかも裕福な年下の男たちが集まっている......その中には、彼女と結婚したいと思っている男も少なくない。清水霞は結婚する気はなかった。それでも軽い気持ちで付き合っている相手がいた。相沢泉の弟・相沢佑樹（あいざわ ゆうき）だ――26歳、身長は188センチ、海外留学から帰国したばかりだ。健康的な小麦色の肌をしていて、笑うと白い歯が眩しいくらいだ。しかも、彼は体もバッチリだ。6月1日。清水霞は会食で少し酔い、個室からふらりと出てきた。頭がわずかにぼんやりしている。相沢佑樹から電話がかかってきた。彼女は電話に出た。少し掠れた声で、「今出たわ！車の中で待ってて」と言った。電話の向こうで、相沢佑樹は少し落胆した様子だった。清水霞は二人の関係を公にすることを頑なに拒んでいた。付き合うことはいいが、将来のことを考えるのは嫌だと言っていたのだ。彼は辛かったが、受け入れるしかなかった。清水霞は電話を切り、少し申し訳ない気持ちになった。しかし、それ以上に色々なことが気になっていた......彼女はもう30代半ばで、相沢佑樹より10歳近く年上だ。それに、彼女はバツイチだ。付き合うだけならまだしも、結婚となると、年齢や体のことで色々と問題が出てくるかもしれない。電話を切ったばかりなのに、見慣れた姿が目の前に現れた。桐島宗助だ。彼の隣には中村秘書が付き添っていた。仕事の関係で来ているの
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1027話
「あと、もう電話してこないで。私たち、もう他人なんだから」......清水霞は電話を切り、エレベーターから降りた。なんと桐島宗助は外で待っていた。そして、彼の隣には藤井圭子が立っていて、二人は親密なカップルのようだった。「霞」桐島宗助は優しい声で彼女の名前を呼んだ。今夜は仕事関係の会食で、清水霞は黒のビジネススーツを着て、美しく凛とした様子だった。迎えの車が来ていないことに気づき、彼女は腕時計を見て時間を確認し、もう一度電話をかけた。そして桐島宗助の方を向いて、穏やかな口調で言った。「確か、私たちの離婚手続きはもう済んだはずよね？」桐島宗助も落ち着いた態度で言った。「霞、話がある」藤井圭子は自分が場違いだと感じていた。しかし、今回のイメージキャラクターの仕事は彼女にとって非常に重要だったため、不満があっても我慢し、桐島宗助の隣でおとなしく彼の手助けを待っていた。清水霞はそんな様子には動じなかった。彼女は今、九条社長という大物に頼ることができたため、桐島宗助に気を使う必要は全くなかった。それに、正直言って、彼女は二人に嫌悪感を抱いていた......清水霞はきっぱりと断った。「イメージキャラクターの件なら、もう決めているわ。それに、九条社長も私の提案に賛成してくれた......相沢さんにお願いすることにしたの」この言葉を口にした瞬間、清水霞の心は晴れやかになった。物事を自分の思い通りにできるこの感覚、本当に最高だ。すごく気持ちがいい......これこそ、彼女が求めていた人生であり、なりたかった自分の姿だった。桐島宗助の顔色は悪くなった。「霞、少しは俺の面子を立ててくれてもいいじゃないか？」ちょうどその時、迎えの車が到着した。清水霞はハンドバッグを手に、ハイヒールの音を響かせながら軽快に歩き、車に乗り込んだ。車内に座り、窓を半分まで開けた彼女は美しく気品にあふれていた。藤井圭子よりもはるかに勝っていた。長年桐島宗助の妻として、何不自由ない暮らしを送ってきたことで培われた気品は、芸能界の女優とは比べものにならない。それに、もともと彼女の容姿とスタイルは抜群だったのだ。夜の闇の中、桐島宗助は前方に光る車のテールランプをじっと見つめていた。彼の瞳には、一抹の寂しさが浮かんでいた。
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1026話
清水霞はオフィスに座り、人気女優数人の資料に目を通していた。そして、藤井圭子の写真を見つけた。清水霞の秘書がそっと近づき、小声でささやいた。「副社長、この藤井さんには後ろ盾がいるそうです。陣内さんの話では、大物の恋人で......最近は特に親密らしく、いずれは結婚相手になるかもしれませんとの噂もあるんです」大物？清水霞は冷たく鼻を鳴らした。桐島宗助のことだろう。結婚相手になれるわけがない、ただの遊び相手だ。清水霞は桐島宗助の性格を熟知している。せっかく独身に戻ったのに、そう簡単に再婚するとは思えない。再婚相手は、政略結婚のために取っておくつもりだろう。いずれにせよ、自分には関係ない。清水霞は写真を何度も見返した。そして、言った。「相沢さんにしよう」秘書は驚いたが、清水霞は直属の上司であり、しかも水谷苑とは姉妹のように親しい。社内での地位も揺るぎなく、これくらいの案件なら十分に決定権を持っている。あの大物のことなら、清水副社長なら何とかするだろう。秘書は部屋を出て行った。清水霞は資料を閉じ、他の仕事に戻った。この件は、すぐに頭から離れた......というのも、彼女は本当に相沢泉（あいざわ いずみ）が一番適任だと思っていたからだ。容姿端麗で、育ちも良い。高級ブランドのイメージにぴったりだ。数日後、清水霞は九条時也に同行して、ある会食に出席した。広報担当副社長という立場ではあるが、会食の場では九条時也の代わりに杯を重ねる役目を担う。九条時也は特別扱いをせず、あくまで仕事と割り切っている......幸い九条グループは大企業なので、相手側も無理に飲ませてくることはなかった。清水霞は実に有能だった。彼女が広報担当副社長に就任して以来、グループのその分野の業績はうなぎ上がりだった。九条時也は大変満足していた。会食が終わっても、彼はすぐには帰らず、清水霞が皆を見送って戻ってくるのを待っていた。そして、グループの状況について話し合い......最後に、今回使う女優さんの件について尋ねた。清水霞は冷静に、相沢泉を選んだ理由を説明した。九条時也は普段、広告モデルなど関心がない。しかし、清水霞の話は非常に説得力があり、彼はすぐに納得した。そして、桐島宗助には自分が話しておくと、淡々と言った......清水霞
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1025話
しかし、清水霞の気位と手腕は、痛いほど分かっていた。清水霞が他の男と関わるのを防ぐため、桐島宗助は車に乗り込むなり中村秘書に伊藤拓也を調べるよう命じた。優秀な中村秘書は即座に伊藤拓也の経歴を調べ上げ、こう言った。「彼は資産家で、奥さんは亡くなり、息子は海外に留学しています」それを聞いて、桐島宗助は鼻で笑った。彼はズボンの裾を軽く叩き、中村秘書に言った。「伊藤さんに電話して、霞は俺の女だと伝えろ。他の男と再婚して欲しくないんだ。商売人は利益を重視する。彼は俺の意図を理解するだろう」中村秘書は、これはまずいと思った。桐島宗助の秘書として長年仕え、清水霞ともそれなりに付き合いがあった中村秘書は、清水霞は良い女性であり、桐島宗助にとってもプラスの存在だったと感じていた。桐島宗助がこのように彼女を冷遇するのは、良くないことだと思ったのだ。中村秘書は尋ねた。「社長にも彼女さんいますよね？藤井さんに夢中で、B市に数日長く滞在してまで一緒にいたのに、どうして今になって奥様に突っかかるんですか？」......藤井圭子？桐島宗助は、さっきまで彼女のことをすっかり忘れていた。確かに魅力的な女性だが、男の生理的欲求を満たすだけの玩具に過ぎない。本気で好きになったわけではない。しかし、だからといって清水霞のために他の女との関係を断つのも癪だった。それは清水霞を利するだけだ。桐島宗助は軽く鼻を鳴らした。「霞に調子に乗らせたくないだけだ」中村秘書は何も言えなかった。彼は仕事が早い。案の定、伊藤拓也は利益を見て、すぐに清水霞との関係を諦めた。会うことすらなく、電話一本で二人の関係は終わった。清水霞は驚かなかった。悲しくもなかった。とっくに予想していたのだ。そして、これが桐島宗助の仕業だと察した。だからこそ、B市で自分の力で生きていく決意をさらに固めた。男を頼りにしても無駄なのだ。本当に偶然だった。清水霞が事業で成功しようと決意した矢先、水谷苑が訪ねてきた。芽依の様子を見に来たと言いながら、清水霞にとって非常に嬉しい知らせを届けてくれたのだ。しかし、水谷苑はもったいぶった。なかなか話そうとしなかった。清水霞は彼女を居間に招き入れ、自らお茶を淹れた。二人は並んで座り、清水霞が言った。「私たちの間柄で、も
離婚は無効だ！もう一度、君を手に入れたい 第1024話
清水霞は特に腹を立てる様子もなかった。離婚しているんだし、いい大人同士がたまに遊ぶくらいいいだろう。責任とか、どうでもいいでしょう？清水霞は鏡に映る自分に軽く微笑みかけ、ウェーブのかかった長い髪をかきあげた。彼女は淡い笑みを浮かべた。「宗助、私たちにはそれなりの思い出があるわ。それに、私ももう若くないし、これ以上時間や感情を無駄にしたくないの。あなたが働き盛りで、まだ他の女性と遊びたい気持ちも分かるわ......でも、私はあなたが落ち着くまで待つ気はない。宗助、ひどい結婚生活は一度で十分よ。二度はごめんだよ」......桐島宗助は眉をひそめた。「俺の周りにどれだけ女がいても、お前が一番大事なのは変わらない。お前の立場が変わることはない」清水霞の声はかすれて、どこか怠惰な響きがした。彼女は言った。「ちょっと余計なものがついて生まれただけで、自分が神様か何かだと思ってるの？世の中には男なんてごまんといるわ。あなたじゃなきゃダメってわけじゃないのよ」そう言うと、彼女の表情はさらに冷たくなった。「宗助、帰ってちょうだい。今夜はただの遊びよ。責任なんて感じる必要はないし、私も求めてないわ......この年になると体も欲求を覚えるものだし、別に決まった相手がいるわけでもない。今夜はちょっと高い男遊びをしたと思ってる」彼女はそばにあった財布から札束を取り出した。「腕はなかなかだったわ。満足した」......桐島宗助は目の前の札束を見つめた。4万円くらいだろうか。彼は怒り心頭だった。清水霞はさらに追い打ちをかけるように言った。「お金を持って出て行って。もう二度と来ないで。ここはあなたを歓迎しないわ」桐島宗助の顔色が曇った。彼は元妻を見つめ、低い声で言った。「霞、本気で言ってるのか？復縁したいと言ったのはお前の方だろう。俺に来るように頼んだのもお前だ。俺は来てやったし、お前とも寝た。まだ何か不満でもあるのか？」子供が起きる心配がなければ、清水霞はこちらに向かって殴りかかっていた。彼女は必死に感情を抑え、歯を食いしばって言った。「ええ、復縁したいと思った私がバカだったわ！もうこんなバカな真似はしたくないの......もういいでしょう？」桐島宗助もまた、プライドの高い男だった。彼は冷淡な彼女の様子
