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第656話

Penulis: 風羽
彼は掌で彼女の冷たい頬を包み込み、温めながら、声を詰まらせた。「だが、苑、俺の気持ちは?俺も同じように、お前と誠のことを気にしていたと思ったことはないのか?」

最初は偽りの気持ちだったが、いつしか本気になっていた。

しかし、彼女は......彼に機会を与えようとしない。

死ぬことばかり考えている。

九条時也はゆっくりと顔を水谷苑の顔に寄せた。しばらくすると、頬が触れ合っている部分から、温かい涙が溢れ出した......

一時、それがどちらの涙か分からなかった。

傍らの高橋は、何度も涙を拭っていた。水谷苑のために喜んでいるのではない。これが水谷苑の望むものではないことを、知っているからだ......水谷苑は既に、九条時也に愛想を尽かしているのだ。

病室のドアが、キーッと音を立てて開いた。

若い看護師が入り口に立ち、恐る恐る声をかけた。「九条さん、小林先生がご相談したいことがあるそうです」

しばらくして、九条時也は返事をした。

小林医師は外科の権威で、藤堂沢が指名した担当医だった。

九条時也が医師のいる部屋に行くと、

小林医師は、一束のカルテを彼の前に差し出した。そし
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