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第823話

Auteur: 桜夏
美月は奥歯をギリリと噛みしめ、あの役立たずな院長の男を心の中で呪った。

「万に一つも失敗はない」と、あれほど大口を叩いていたくせに、この土壇場で裏切るとは!

だが、今更罵ったところでどうにもならない。あの男はすでに夜逃げ同然で高飛びし、自分が払った大金も、すべて水の泡と消えた。

――こんなことなら、あの金をすべて現金に換えて、自分で持ち逃げすればよかった。

美月は憎しみのあまり、あの院長が今頃、車にでも撥ねられてミンチになっていればいいと本気で願った。そうでもしなければ、この腹の虫が収まりそうになかった。

時刻は、夜八時十分。その頃、都内を走る別の公道では。

透子を拉致した黒いセダンは、大型SUVに何度も体当たりされていた。もし、この車が事前に特別に改造されていなければ、とっくに鉄くずになっていただろう。

目の前には交差点が迫り、信号は無情にも赤に変わった。

男は歯を食いしばると、意を決して赤信号を突っ切った。

巧みな運転技術で左右にドリフトを決め、交差してくる車を紙一重で避けていく。

しかし、避けられた車同士が玉突き事故を起こし、同時に四方八方からパトカーのサイレ
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Commentaires (1)
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child1028believe
ドアにロックがかかっているなら運転席の窓を割ってロックを外すかなぁ?
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