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第933話

Auteur: 桜夏
病室の外の廊下。

理恵はわざと数歩先まで進んでから立ち止まり、掴んでいた雅人の袖をパッと放した。

「さっきも言ったでしょ、これは事故よ。誰にも予想できなかったことよ。朝比奈はもう捕まったんだから、この話はこれでおしまい!」

理恵は雅人に向き直る。けれど、その目をまっすぐに見ることはできない。努めて落ち着き払った口調の下で、隠しきれない気まずさが滲んでいた。

「両家の親にも話は通してあるし、私は賠償なんて要らない。元はと言えば、悪いのは全部あの朝比奈なんだから」

彼女は続ける。「それに、もう昔の時代じゃないんだから。キスされたくらいで、いちいち気にしないで。どうせ、本当に何かされたわけじゃないんだし」

雅人は目の前の理恵を見つめる。彼女は持ち前の竹を割ったような性格で、自らすべてを解きほぐし、彼に一切の責任を感じさせまいとしている。

雅人は、深く頭を下げた。「それでも、君には謝罪しなければならない。本当に、すまなかった」

理恵は居心地悪そうに言った。「昨夜は、私が勝手にあなたの部屋に入ったのよ。あなたが出てきて私を探したわけじゃない。

あの時、変だと思ったらすぐあなたに知らせるべきだった。私一人で乗り込もうとしたのが間違いだったの」

それに、と理恵は思う。自分が「被害」に遭った元凶は、自分の母親なのだから。

もし母が自分の部屋を雅人の隣に手配しなければ、ドアの閉まる音など聞こえなかったはずだ。

聞こえなければ、雅人の部屋へ行くこともなく、その後のすべてが起こることもなかった。

理恵は、目の前の長身の男を見上げて言った。「もういいの。この話は、これで終わり。これからは、誰もこのことを蒸し返さないこと」

雅人が静かに頷くと、理恵は病室へ戻ろうとした。だが、数歩進んで、ぴたりと足を止める。

何度かためらった末、彼女はやはり口を開いた。これを言っておかなければ、どうにも収まりがつかない。

「昨夜の部屋割り、私があなたの隣だったのは、私の意志じゃない。母が勝手に決めたの。

……兄と部屋を替えてもらおうと思ってた矢先に、朝比奈があなたの部屋に入る物音が聞こえちゃって。

母は……たぶん、ずっと私とあなたをくっつけようとしてる。でも、私にその気はないし、あなたに誤解されたくないの。

後で母にははっきり言うつもり。もう勝手な真似はしないでって。だか
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Commentaires (4)
goodnovel comment avatar
らむネロ
いやぁ〜、雅人すっごい怖かった…… この人は本当に敵に回しちゃダメな人間だ... 雅人と理恵のラブストーリー楽しみですよね〜! この2人に翼がどう絡んでくるのかも楽しみです(*´艸`)
goodnovel comment avatar
child1028believe
あーもう雅人、確実に息の根止めないと! 美月は獣なんだから看守を騙して脱走とか何をしてかすか危なくてしょうがない。 早く始末する事を希望します。 透子無事で良かった。 だんだん雅人に心を開いてる感じ微笑ましいけどさぁ。 透子にドン引きされないうちに早く始末なさいよ。 美月が捕まってハッピーエンドな展開になりつつあってようやく安心だわ。
goodnovel comment avatar
タチコマ
美月が捕まり安心しましたね! けど、いゃ〜!雅人凄い!怖かった〜!バイオレンス小説かい! 透子も両親、雅人の愛を受け入れて仲睦まじく幸せになってほしいです。 この先に理恵と雅人のラブストーリーが…ワクワク、ドキドキがいっぱいで楽しい!
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