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第1658話

Auteur: 小春日和
すべてが電光石火の出来事だった。

伊藤はこの銃撃戦がどう始まったのかさえ分からなかった。

「伊藤!何ぼーっとしてるのよ!さっさと隠れなさい!」

幸江の一喝で、伊藤はようやく自分が隠れる必要があることに気づいた。

この銃撃戦では、誰もが命がけだった。

弾丸に目はない。遮蔽物を見つけられなければ、いつ命を落としてもおかしくなかった。

伊藤は素早く大木の陰に潜り込んだ。恐れを知らずに突き進む幸江の姿を見て、ふと子供の頃を思い出した。幸江は昔から、黒澤おじいさんが最も目をかけていたお気に入りだった。

子供の頃は、幸江が女だからと高をくくって、ただの見かけ倒しだなんて思っていたけれど、大人になった今、その実力差は一目瞭然だった。

彼はようやく、黒澤おじいさんがなぜ幸江をそんなに気に入っていたのかわかった。

それに比べて自分は、弱すぎて話にならない。

その頃。

前方にいた陶子も、相手が何人いるのか即座には判断できずにいた。

部下が慌てて陶子の元へ走り寄り、潜伏させていた味方が黒澤に仕留められたと報告してきた。

敵の正確な人数が掴めないため、迂闊に動くこともできない。

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