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第776話

作者: 小春日和
相手の男は、真奈がどんな立場の人物なのかまったく理解しておらず、呆気に取られたようにその場に立ち尽くしていた。内匠はすぐに取り繕うように笑みを浮かべ、真奈のもとへ駆け寄った。「瀬川さん、こんなところでどうされたんですか?」

「こっちが聞きたいわよ。トイレに行こうとしただけなのに、訳もわからずここに連れて来られたの。しかも、あの人、私に手を出そうとしたのよ!」

真奈は、咄嗟にもっともらしい嘘を繰り出した。内匠は顔を強張らせ、驚いたように訊いた。「なんてことを……そんな無礼な奴が……瀬川さん、お怪我はありませんか?ここは本来、お入りいただく場所では……すぐにご案内しますので――」

「結構よ!」真奈はわざと不機嫌そうに声を張り上げた。「立花はどこ?本人にきっちり説明してもらうから!」

「そ、それが……総裁は今、お会いできない状況でして……」

「会えない?このフロアで誰かと密会でもしてるんじゃないの?」

怒りを露わにした真奈を見て、内匠は必死に手を振りながら弁明した。「誤解です、瀬川さん。本当にそれは誤解です。総裁は瀬川さん一筋でいらっしゃいます。瀬川さんのことで楠木さんともあれだ
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