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第6話

Penulis: 芽生
仕事が終わる頃、ちょうど雨が降り出してしまった。

「家まで送るよ」

エレベーターの中で、拓海はほほえんで言った。

「気にしないで。君の家とは確か同じ方向だったよ」

ずいぶんと躊躇って、断ろうとしたその時、拓海が続けた。

「友達としても、ダメなのか?」

これでは断る理由もなくなってしまう。

会社の玄関を出ると、土砂降りだった。

拓海がさっと傘を差し出してくれたその瞬間、見慣れた人影が目に入った。

佑樹は全身ずぶ濡れで、まるで落ちぶれた野良猫のように惨めな姿だった。

一瞥しただけで、私は視線をそらした。

佑樹は苦い表情で私を見つめながら言った。

「知織……あいつは誰だ?」

拓海は優雅に微笑んで言った。

「知織、お友達?」

私は首を振った。

「元夫」

佑樹は身体を震わせ、信じられないという顔をした。

声は震えていた。

「知織……なんで俺を元夫なんて呼ぶんだ?」

もう離婚したんだ。元夫以外の何だっていうの?

私の考えが読めたのか、佑樹は焦ったように言った。

「離婚だって、知織が一時の気性で言っただけだろう?」

彼の目には期待の色が浮かんでいたが、私は残酷にもその幻想を打ち砕いた。

「佑樹、あなたは知ってるでしょ。私が離婚を駆け引きの材料にすることなんて、絶対にないって」

佑樹は胸を締めつけられるような痛みを感じ、息も苦しくなった。

長い沈黙の後、彼は不思議そうに呟いた。

「でも……なんで……あのホットココアのせいか?」

私は冷静に彼を見据えて言った。

「私と鈴奈の間で、あなたが一度でも私を選んでくれたこと、あった?

あんなに仲のいい兄妹なんだから、どうして私を巻き込んだの?」

佑樹の目に一瞬、苦痛が走り、表情はさらに曇った。

これ以上彼を見るのは嫌だ。私は拓海の袖を引いて、その場を離れた。

拓海の車に乗ると、彼が突然笑って言った。

「あんな人が元夫だなんて、なかなか想像つかないな」

少し気まずい思いがした。

確かに、初めて会った頃の佑樹は、ごく普通の男性だった。

拓海はそれ以上何も言わず、静かに私を家まで送ってくれた。

マンションの入口で別れ際、拓海が私を呼び止めた。

「あの元夫さん、どう見ても諦めてなさそうだ。何か困ったら言ってよ。大したことできないけど、追い払うぐらいなら余裕でできるから」

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