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第8話

Author: 缶缶いっぱい
どれほどの時が経ったのか、突き刺すようなサイレンが空を裂いた。

頌佳は、ついに救い出されたのだった。

彼女は病院で簡単な手当を受けたが、入院の勧めを断り、誰もいない城館へ一人で戻った。

そこはかつて景和が、彼女を笑顔にするため、自ら設計図を描き、工事を見守った場所だった。

瑶緒が来てまだ二ヶ月にも満たない。だが、そこはすでに彼女の痕跡に覆われていた。

もともと頌佳のために用意されていた衣装部屋や音楽室も、今では雑物に埋もれている。

あのとき彼女が景和のために彫った木彫りの像でさえ、今や無造作に床に投げ捨てられていた。

あの頃、彼は涙ぐみながら言った。

「これを一生大切にする」――と。

闇に覆われた空を見上げ、頌佳はかすかな笑みをもらした。

すでに一昼夜が過ぎていた。

景和はまだ瑶緒のそばにいる。

彼女は平静を装い、口元の血を拭き、城館の門前にある郵便ポストへ三つのものを入れた。

――一つ目。

瑶緒が昨日贈ってきた花束に仕込まれた香料の検査報告。

これを見ればすぐに分かるだろう。虎と狼が狂暴化したのは偶然ではなく、計画されたものだと。

あの花束には野獣の狂気を誘発する香料が大量に混ぜ込まれていた。

――二つ目。

病院で受けたばかりの健康診断結果報告書。そこには、彼女が流産したと記されていた。

あの瞬間、彼が瑶緒を選び、彼女を冷たい海へ沈めたとき。

彼が瑶緒を守るため、頌佳に九十九度の鞭打ちを負わせたとき。

それは、彼が瑶緒のために、二度も彼らの子を間接的に奪ったことを意味していた。

――三つ目。

折れたダイヤの指輪。

五年前、景和がプロポーズのためにわざわざアフリカまで赴き、磨き上げに磨き抜いたもの。

実に一千三百万回も研磨され、半年をかけた結晶だった。

その純粋で揺るぎない愛は、当時G市全体を震撼させた。

彼女を心の中心に抱き、寵愛してくれたのは、他でもない彼だった。

結婚式で、頌佳を永遠に愛すると誓ったのも、彼だった。

だが、瑶緒のために彼女の目を放置したのも。

瑶緒の「償い」のために、彼女を野獣の口へ突き落としたのも。

十度の溺水と九十九度の鞭打ちを目の前で見過ごしたのも、すべて彼だった。

燃えるように激しかった愛は、G市の絶え間ない雨季の中で、すでに灰燼と化していた。

この五年、どれほど怒りに駆られても、頌佳はその指輪を一度も外さなかった。

――今こそ、薄葉景和、それをあなたに返す時だ。

轟音とともにヘリコプターが降りてきた。

頌佳は目を細めて見上げた。そこには懐かしい顔があり、顎に手を当て、彼女を見下ろしていた。

「行かないのか?アリス」

彼女はしばし黙って立ち尽くし、やがて微笑みながら問う。

「ニック、ライターを持ってる?」

ニックは口笛を吹き、マッチ箱を投げ渡した。

「これしかない」

「十分よ」

身を焼く痛みに耐え、一歩一歩、城館へ向かった。

彼らの愛が芽吹いた場所。しかし欺きと裏切りを重ね、やがて枯れ果て、塵と化した場所。

彼女はマッチに火を灯し、城館へ投げ込んだ。

轟然と、炎が瞬く間に城館全体を呑み込み、

かつて温もりに満ちていた「家」は、今や人を喰らう炎の地獄となった。

「さようなら」

頌佳は小さくつぶやき、ためらいなく背を向けた。

ヘリコプターに乗り込み、離陸の音が響いた。衣の裾は暗闇に翻り、大洋の彼方へ舞い上がった。

同じ頃、頌佳が救出されたことを知った景和は、車を狂ったように走らせ、必死で戻ろうとしていた。

だが地面と空、二人は互いに背を向け、二度と交わることはなかった。

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