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第23話

Author: 缶缶いっぱい
次の瞬間、景和のスマホはメッセージの嵐に襲われた。

画面にびっしりと並ぶ文字はすべて「薄葉グループ資金繰りが途絶え、時価総額が九割蒸発」と表示されていた。

ニックはゆったりと去り際に一言残した。

「薄葉、もう俺と妻を邪魔するな。さもなければ、残りの10%が即座に消えるかもしれないよ」

景和はその場で凍りつき、目と眉には氷の結晶が張り付いた。

その時、景和の目にあの美しい姿が車から降り、ニックの手を握る光景が映った。

彼は突然、ある予感がした――これが彼が彼女に会える最後になるかもしれない、と。

それ以降、彼の世界にはあの明るく華やかな頌佳は二度と現れない。

彼はよろめきながらも、全力で頌佳に向かって走った。

「頌佳!頌佳!」

その瞬間、頌佳の姿はわずかに止まり、精緻な横顔が氷雪によってさらに凛と引き立っていた。

「頌佳、お願いだ、振り向いてくれないか?」

残された償いの日々に、せめてひとつの念を残したい――景和はそう願った。

彼は期待を胸に、彼女が振り向くのを待った。

しかし頌佳はその一瞬だけ止まった後、何事もなかったかのようにニックの手を握り、歩みを進めた。

頌佳は一度も振り返らず、背筋を真っ直ぐに保ち、決然と、果断に歩き続けた。

――薄葉景和、私はもうあなたを愛さない。あなたのために立ち止まることもない。

雪はそっと彼女とニックの上に降り注ぎ、こうして二人は白髪になるまで歩み続けた。

頌佳がプロポーズを受けたのは、暖かく穏やかな春の日だった。

かつて彼女が何気なくニックに言った――人生のすべての大切な日には、いつも美しいドレスを着たい、と。

だから彼はこの日を、アマルフィ海岸の春に捧げたのだ。

このプロポーズには大勢の客は呼ばれず、二人の親しい友人だけが立ち会った。

夕陽に染まる海はオレンジ色に輝き、彼女の頬に自然な紅潮を映していた。

ニックはダイヤの指輪を手に取り、片膝をつき、青の瞳を頌佳に注ぎ、一瞬も視線を逸らさなかった。

五年前と変わらず、彼は自分のプリンセスを愛し続けていた。

忠実に、尊重し、慈しむ――

この時、頌佳はロンドン大劇院からのプリンシパルダンサーの招待状を手にしていた。

今度こそ、彼女は自分の人生をしっかりと掴んだのだ。

そして今、彼女は手を差し出し、愛を象徴する指輪をはめた。

十本の
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  • 雪の枝に残る想い   第22話

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