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第4話

Author: 神雅小夢
last update Last Updated: 2025-06-12 11:27:25

絢斗の部屋を後にした私は、正直、どうやって帰ったのか覚えていない。

深夜の田舎道はあまりにも寂しくて、なんにもなくて、今の私の心情を現しているみたいだな、と思ったのは覚えている。

途中、車の中で泣き叫んだ。獣みたいだった。叫ばずにはいられなかった。

交際三年の中で良い時期もあった、笑ったことも数えきれないほどあった。

でもね、絢斗が私のスマホをチェックするようになってからは、本当はわかってたのかもしれない。

なにもしてないのに、相手のスマホを見る、それは自分がやましいことをしてるから、相手を疑ってしまうのだ、相手もしてるんじゃないかって。

とっくに別れへのカウントダウンが始まっていたって、ほんとは心のどこかで感じていた。気づかないふりをしていたんだ。

絢斗が転勤になって、前みたいになかなか会えなくなって、確かに私は絢斗に冷たい態度で接することも増えた。喧嘩も前より多くなった。

それは素直になれない、会えない淋しさの裏返しでもあったが、不器用な自分が嫌いだった。

それは悪循環を生み出して、留まることを知らなかった。

それでも私は絢斗が必死に買ってくれたお揃いの指輪も、仕事でうまくいかない時、抱きしめてくれたことも。可愛いって褒めてくれたことも、転勤になるまで、毎週会っていたことも、特別だったんだよ。時々、太陽みたいに笑う絢斗が本当は大好きだった。

絢斗には最後まで、素直になれなかったな……。

毒親で貧乏な家庭という、地盤が生まれつきグラグラで不安定な環境で育った私は、恋愛に依存しやすいということは自分でもわかってはいた。

とにかく自分を認めてくれる存在が欲しいのだ。自分の居場所を探して安心したかった。

それにグループで頻繁に遊んでいたのも、悪かった。

うまくいってる時は理想のカップル~と言ってきた女友達も、別れた途端に手のひら返しだった。

「昔から嫌いだったのよ。聞いてもないのに自分の話をするな! 私と絶交してください」

なにこれ……。この人に私はどうやら嫌われていたらしい。自分の話をするなって、どういうこと?

この子からは絢斗と付き合えて、羨ましいと散々言われていた。結局、彼女も絢斗を好きだったのかもしれない。

絢斗がその明るさで人を惹きつけるのはわかってはいたが、こうも次から次に……。

女の友情はロースハムより薄いって、誰か言ってたなぁ……。

絢斗が日菜と結婚するって紹介したと、グループの友達から聞いた。

みんなで遊ぶ時、絢斗の隣は私って決まっていたのにな……。自分のポジションを奪われた気がして、また涙があふれた。

……にしてもいきなり結婚って、二人は前から知り合いだったようで、日菜も同僚らしかった。

完全、私の負けじゃん。てかなにそれ。もうなにも考えたくない——

「四十七キロ……」

絢斗と別れて一週間で三キロ痩せて、職場ではみんなから痩せたねと言われた。

身長百五十六センチの私は、いわゆる美容体重になった。

仲良しの友達は私の話を聞いてくれたし、また日常は戻りつつあったが、心はとっ散らかってどこか落ち着かなかった。

思い切って、環境を変える必要があるのかもしれなかったが、今の私にはその気力すらなかった。

***

「ちょっと、鈴山さん? それ箱が違うわよ?」

社員の小山田さんに注意され、私はふと我に返った。なにも考えていなかった。

お菓子の検品をしながら箱に詰める作業をしていたが、製品の箱を間違っている。

そのまま出荷したら大変なことだ。

私は肝を冷やした。

最近飲み過ぎで、朝なかなか起きれないうえに、頭がぼーっとする。毎晩お酒を飲まないと寝れなくなってる。

「鈴山さん、最近変よ? あなた社員だし、最近ここの機械の担当になったんじゃないの? しっかりしなさいよね」

小山田さんから叱られた。自分が悪い。

給料が高いから、この仕事をしてる。別に好きでも嫌いでもないが、できれば少しでも好きな仕事をして生きたいと願うのは欲張りだろうか……。

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