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8話「出ていけ」

last update Veröffentlichungsdatum: 21.08.2026 21:20:35

 直雄《なおたけ》は、※※※さんが死んだ真相を知っていた。

 それは、期限内にノルマを達成できなかった※※※さんが、罰則としてデーモンに殺されてしまったことだった。

 肉体がバラバラになるほど無惨に殺されたんだ。

 それを知っていて、何で平然としていられるんだ?

『木野、これは必要な犠牲なんだ。実際に誰かがこうならないと、ノルマの存在意義がなくなる』

『だからって、人を殺していい理由には、ならないだろ!』

『いや、そんなことはどうでもいい。これが現実かどうかなんか分かってねぇし。このことを咎める者は、この場にはいない。お前を除いてな』

『酷すぎないか?ノルマを達成しろって言われても。達成できなかったら殺されるなんて。そんなこた、僕は聞いてなかった!』

『あぁもう!うるせぇな!音楽が聴こえねぇって言ってるだろ!デカい声出しやがって!』

『だから!音楽なんて今はどうでも――』

『どうでもいい訳ねぇだろ!!』

 直雄はその言葉に激怒した。

 その声は僕には、聞こえないはずなのに、物凄い怒号を聞いたように感じた。

 怒っているのは僕の方なのに。

『こっちはそこに命かけてるんだ!人が死ぬのはこ
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  • 音したメダルに誘われて   13話「昨日と明日」

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  • 音したメダルに誘われて   10話「真実」

     飛び込んだ扉の奥には、暗い場所に大きなモニターと、面を付けた2人がいた。 それが誰なのかは、今は分からない。  「明天、本当にやるのか?」 面を付けた、背が高い方の男(声色で判断した)が僕に話しかけてくる。 明天?何でそう呼ぶんだ?「えぇ、それしか方法はありません」 今のは!? 僕が喋ったのか!? えっ!?声が出ない!体も動かない! どうなってるんだ!?  体を動かそうにも、瞬きひとつもできやしない。 だけど、さっき、僕の口から言葉が発せられていた。 それは僕の意思じゃない。 まるで、他の誰かの体に、自分の魂だけが憑依しているような感覚?だ。 「私が、木野を救います。そのために、真実を永遠に忘れるように誘導するのです」「分かってる、このままじゃ、自我が崩壊する。今は偽りの記憶で誤魔化したけど、いずれ、メダルの音が木野を真実へ導くだろう」  偽りの記憶?  モニターには、僕とリーダーが映っていた。 映像から音は聞こえてこないが、しばらくして、映像の僕はリーダーに首を絞められていた。 そうか、思い出したぞ。 門宮を殺したのはリーダーだったじゃないか。 どうしてそんな重要なことを忘れていたんだ? まさか、その体験自体が偽りの記憶だったのが!?  だが、この映像があの時の出来事なら、僕が今見ているのは明天の過去なのか? 「おい!このままじゃ、俺が死ぬぞ!」 その時、面を付けた背の低い方が、慌てるようにモニターに映る僕を指し、明天に止めるように訴えている。  俺、その一人称は、僕が小学生時代の一人称だ。 なんだか、昔の僕と喋り方が似ているな。 どうして僕のことを、俺と呼ぶんだ?  疑問は残ったまま、映像は流れ続ける。 僕はこの先を覚えている。 明天が僕を助けに来て、リーダーは警察に連行された。 あの時は、明天に感謝したが、今となっては、それも僕を真実から遠ざけるために、やったことだったんだ。 いや、待てよ。 このまま、明天がここにいたら、僕は首を絞められて、殺されてしまう!? 「いやぁ、それは困りますねぇ。救いに行くとしますか。あなた方の未来を」 ここで様子を見ていたのか、そしてこの時、僕の元へやってきたんだな。  見られている。 明天が言ったこの言葉は、面を付けた2人のこと

  • 音したメダルに誘われて   9話「あなたの記憶は物語の舞台。あなたの意思は物語の運命。あなたの真意は真実を永遠に忘れること」

     デーモン《直雄》は、電車に轢かれて動けなくなった。 それでも、直雄は死んでおらず、僕に対して「二度とここに戻ってくるな」と何度も言い放つ。 だが僕は戻るつもりなどない。  僕はその電車に乗り、圧夢駅を発つ。 やっぱり、この電車も無人だ。 誰も乗っていない。 それでも、電車は動き出した。 電車内では振動だけが伝わってくる。 音がない環境にもすっかり馴染んできたが、それも今日で終わりだ。 真実を追うために、圧夢駅から出る。 そして明天を探す。  ガタン、ゴトン。 「何っ!?」 電車が走り出してしばらく経つと、久々に音が戻ってきた。 それにびっくりした僕は、思わず声が漏れていた。 音が聞こえるのはこんな感覚だったか。 今、圧夢駅を出たんだな。  いや、待てよ。  僕は久々に音を聞いたんじゃない。 大きな音が聞こえたから、驚いたんだ。 直雄の声や、メダルが落ちる音、圧夢駅でこれらの音は、確かに聞こえたじゃないか。  なぜだ?  圧夢駅は、一切の音が聞こえない空間?のような場所だった。 あの場所で数ヶ月、働いて過ごしたが、聴覚が失われたのか?と思う程、何の音も聞こえなかった。  それでも、デーモンに殺されそうになったあの時、メダルの音が聞こえた。 だからこそ、僕はその音が、今乗っている、この電車を呼び寄せていることに気付くことができた。  だから、こうして脱出できたけど……いや、待てよ。 振り返ってみると、これまでに様々な場面で、不自然にメダルが落ちる音が聞こえていた。 ・門宮が殺された時・門宮を殺した犯人に、僕が殺されそうになった時・なな(犬)を見つけた時・山で突然電車が現れた時・その電車で圧夢駅に着いた時・デーモンから逃げる最中に3回  ありえないことばっかり起きたけど、メダルの音はどの場面にも共通して聞こえてきた。  僕は音に導かれるまま、この場所にたどり着いたのか?  誰が何のために?  ……門宮なのか?  明天は言っていた、誰かに見られている、と。 僕を見ているのは門宮なのか? あの時、何もできなかった、ただ見ているだけだった僕を、恨んでいるから、こんな逃げ場のない悪夢を、見せているのか?  それなら、僕は何をすれば許されるんだ? そんなの、考えて

  • 音したメダルに誘われて   8話「出ていけ」

     直雄《なおたけ》は、※※※さんが死んだ真相を知っていた。 それは、期限内にノルマを達成できなかった※※※さんが、罰則としてデーモンに殺されてしまったことだった。 肉体がバラバラになるほど無惨に殺されたんだ。 それを知っていて、何で平然としていられるんだ?『木野、これは必要な犠牲なんだ。実際に誰かがこうならないと、ノルマの存在意義がなくなる』『だからって、人を殺していい理由には、ならないだろ!』『いや、そんなことはどうでもいい。これが現実かどうかなんか分かってねぇし。このことを咎める者は、この場にはいない。お前を除いてな』『酷すぎないか?ノルマを達成しろって言われても。達成できなかったら殺されるなんて。そんなこた、僕は聞いてなかった!』『あぁもう!うるせぇな!音楽が聴こえねぇって言ってるだろ!デカい声出しやがって!』『だから!音楽なんて今はどうでも――』『どうでもいい訳ねぇだろ!!』 直雄はその言葉に激怒した。 その声は僕には、聞こえないはずなのに、物凄い怒号を聞いたように感じた。 怒っているのは僕の方なのに。『こっちはそこに命かけてるんだ!人が死ぬのはこの会社のルールだ!この無音の空間は俺の作った曲だけが聴こえるんだよ!絶対にな!そういう風にできているんだよ!』 俺が作った曲だけ聴こえる!? 一体どんな理屈で聴こえるんだ? それに、うるさいとか、騒がしいとか、なんで僕の声の大きさを気にしてるんだ?音は聞こえないはずなのに。『他の社員には全員聴こえる。俺の作った曲の音だけがな。聴こえてないのは、お前だけだ。お前は、いい夢を持っていた。小説家になるんだろう?だったらこの事実を受け入れて、励むんだ!夢を叶えるには覚悟が必要だ!その覚悟を見出せば、必ず聴こえてくる!』『いや、それは違うよ。いくら夢を叶えるためだからって、殺人も許される訳ないんだ!悪いけど、君の音楽は僕には聴こえない』 そうだ、もうここにいたらダメだ。 僕は倉庫の出口へ向かって歩き始める。『おい!どこへ行くつもりだ!?』『僕は今すぐ、ここから出ていく』『は?待てよ。出ていくって、だからどこへ行くつもりだ?』『ここじゃない所に行く!』『何言ってんだ?お前はここで働くと約束したじゃないか!仕事はどうするんだよ?ノルマは?夢は?全部放ったらかしにするつもりか!

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