Home / 恋愛 / 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい! / 【第79話】愛の告白・前編(ウルカ・談)

Share

【第79話】愛の告白・前編(ウルカ・談)

last update publish date: 2026-09-26 11:20:21

『……それは、本当にすまなかった。あー……でも、その言葉をお前に言うのは、ちょっと待ってくれないか?今言っても構わないが、この場の雰囲気を誤魔化す為みたいで嫌なんだ。大事な言葉だから、改めてきちんと伝えたい』

 そんな嬉しい言葉を贈ってもらってから、もう数ヶ月が経過した。食べ物が美味しい季節が通り過ぎ、空気はもう肺に吸い込むだけでひんやりとしている。なのに、なのにワタシはまだ、肝心の一言を贈られていないままだ。

(おかしいわ……。いったいいつになったらワタシは、浩二さんに『好き』って言ってもらえるの?)

 あれからも毎晩肌を重ね、深く深く愛し合っているというのに、やっぱり『好き』の一言は言ってはもらえていない。『可愛い』だの『恋しい』とまでは贈ってくれても、『好き』や『愛している』が無いままなのは……どうしてなのだろうか?

 それと同時に、“夫婦の営み”をいたす場所にも問題点を感じている。

 一度もベッドで抱かれた経験が、無いのだ。

 風呂場での初体験以降、玄関やベランダと始まり、今はソファーや廊下。そのうえこの間なんかは、こっそりひっそり隠れて、とうとう学校の古い用具室でまでしてし
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!   【第79話】愛の告白・前編(ウルカ・談)

    『……それは、本当にすまなかった。あー……でも、その言葉をお前に言うのは、ちょっと待ってくれないか?今言っても構わないが、この場の雰囲気を誤魔化す為みたいで嫌なんだ。大事な言葉だから、改めてきちんと伝えたい』 そんな嬉しい言葉を贈ってもらってから、もう数ヶ月が経過した。食べ物が美味しい季節が通り過ぎ、空気はもう肺に吸い込むだけでひんやりとしている。なのに、なのにワタシはまだ、肝心の一言を贈られていないままだ。(おかしいわ……。いったいいつになったらワタシは、浩二さんに『好き』って言ってもらえるの?) あれからも毎晩肌を重ね、深く深く愛し合っているというのに、やっぱり『好き』の一言は言ってはもらえていない。『可愛い』だの『恋しい』とまでは贈ってくれても、『好き』や『愛している』が無いままなのは……どうしてなのだろうか? それと同時に、“夫婦の営み”をいたす場所にも問題点を感じている。 一度もベッドで抱かれた経験が、無いのだ。 風呂場での初体験以降、玄関やベランダと始まり、今はソファーや廊下。そのうえこの間なんかは、こっそりひっそり隠れて、とうとう学校の古い用具室でまでしてしまったというのに、何故ベッドだけは無いの?基本中の基本なのでは? ——と、ケーキの焼けるいい匂いを嗅ぎながら考えるのは、自分が“淫魔”だからなのか、そんな事ばかりだ。 異教徒の祭りにどうしてこうも、この国の人達は毎年盛りあがれるのだろうか?とも不思議に思う。まぁおかげでこの時期は良質な淫夢にありつけるので、全くもって無駄なイベントだとまでは考えていないのだけれども。「えっと……ワタシでも、何か手伝える事は無いですか?」 今日は早く終わったとはいえ、仕事の後なのだから疲れているだろう浩二さんに声を掛ける。 彼は大荷物を抱えて帰宅すると、すぐに台所に向かい、ずっと色々な料理をせっせと作ってくれている。ワタシだって、料理をやり慣れているとは言えずとも、それなりには出来なくもないのでそう訊いてみたのだが、「いや、平気だ。お前はゆっくり寛いでいてくれ」と笑顔で言われてしまった。「……わかりました」 渋々だけど、そう答える。 どうやら浩二さんは、ワタシを“俺がいなければ何も出来ない子”に仕上げたいみたいだ。 依存されてしまいたい。 そして、生涯自分から離れる事が出来なくなってし

  • 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!   【第78話】答え探し・後編(華・談)

     “魔女の部屋”で呪いの解除方法を探し始めてから数ヶ月が経過した。 もうクリスマス・イブだなんて、恋人達のテンションが最高潮に上がりそうな日が来てしまった。学校は今日が終業式だったので、授業自体は午後一で終わってくれたから、いつもよりも早い時間からこの部屋に来られている。 夜にはカシュと共に『ウチで何か美味しい物でも食べようか』と話していたため、彼は珍しく、もう先に帰宅している。ご馳走でも作って待っていてくれているのではないかと思うと、なんだかちょっとくすぐったい気持ちに。年甲斐もなく、心が乙女っぽい反応をしてしまっているが、生まれてこの方二十八年。彼氏なんて存在がいたためしがないので仕方ないだろう。「次は……そうね、今日はちょっと机の引き出しでも見てみようかしら」 前にぱっと見た時は文房具くらいしかない印象だったのだが、もしかしたらメモの一枚でもあるかもしれない。仕掛けを解除すると、なんら変哲もない筒の中にヒントがあったりみたいな映画的展開もあるかも、と思いつつ、引き出しを開けて中を確認してみる。 ……残念ながら前と一切変わっていない。当然だ、自分しか基本的にはこの部屋には入れないのだから。「全部出してみましょうか。中の整頓もしたいし」 ただ開けて、このまま閉めるだけでは能がない。——そう思って引き出しの中身を全てごっそり出してみる。どれもこれも中世辺りの時代を感じさせるデザインではあるものの、基本的には自分の机の中身と変わらない。筆記具や白紙のメモの束、ペーパーナイフなどといったものばかりだ。「こういう時ってあれよね。ドラマや漫画だと、引き出しを抜いたその裏板に何かあったり、机の裏側に何か貼り付けてあったりするけど……」 『まさかね』と思いながらも、慎重に引き出しを机から抜き取ってみる。残念ながら、抜いた引き出しをひっくり返してみたが何もない。『そう上手くいく話ではないわよね』なんて考えながらも、それでも諦めきれず、机の裏側をダメ元で覗いてみる。壁のランタンの数は多くとも、所詮はロウソクのみに頼った室内はどうしたって薄暗く、そのせいで中身は真っ黒にしか見えない。手元を何か灯りで照らさないと無理だろうかとも思ったが、目を凝らし、暗さに慣れるのを待ってみて——「嘘……何かあるわ」 驚きが隠せず、ぽつりと呟く。 恐る恐る手を伸ばし、天板の真裏

  • 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!   【第77話】答え探し・前編(華・談)

     歳月は刻一刻と容赦なく流れ、文化祭やら球技大会などといった、生徒達が交流を深められるイベントが、激流が如くサクサクと終わっていってしまう。 そんな中でも学生の頃は『暇だ』『みんなと一緒で楽しい』なんて思う隙が、勉強だ部活だとに追われながらも多少はあったのに、今はどうだ。気が付いたら、いとも簡単に一日が終わっているではないか。 言い方は違うにしろ、『先生かまってー!もう授業終わったから暇でしょ?』やら『先生って夏休みとか長くていいよねぇ』だなんて学生視点からしか“先生達の日常”を見ていなかった“過去の自分”をグーで殴ってしまいたくなる。ホント、教師の仕事量の多さを当時は全く気が付いていなかったな、と。 ふとした瞬間に、担任だった先生の疲れた顔を思い出し、ちょっと遠い目になる事もあるくらいだ。でもまぁ、私の場合はカシュがいるおかげでまともな生活環境や食事内容を維持出来ているが……保護者対応だ、授業の準備だなんだとやる事が多くて、一日が四十八時間になってしまえばいいのにと、常々思っていた。 それがどうだ。 実際そういう環境を手に入れてしまってみると、今度は体力が持たないわ……。 “黒魔術研究会”なんていう他に類をみないくらいに怪しい部活動の顧問代理を引き受け、その流れで理事長から図書館の奥に存在していた“魔女の部屋(と、今後の都合上勝手に命名した)”を“遺産”として引き受けて以来、その部屋の“何時間居ても現実では五分しか経過しない”という特性を活かし、私は毎日のようにこの部屋に入り浸っている。 何も、『暇な時間を確保するため』ではない。 ……無いのよ?違うの、ただ、カシュ達の呪いを解いてあげる術が、何かここにヒントでもあったりはしないかと思い、コレは純粋に担任として、そして彼の“仮初の保護者”として—— なんて頭の中で色々と言い訳をしながら、今日も今日とて、もうかれこれ五時間程、“魔女の部屋”に引き篭もり中だ。 この部屋は、実に面白い。 並べてある実験器具の使い方を調べる事から始め、薬草についての知識や生活の知恵など、“魔女”という言葉から連想するような、“黒魔術”とは程遠い物ばかりだ。巨大な大鍋や、いかにもな大きい帽子、ヤモリの黒焼きや、歪んだ形の木で作った杖などといった“いかにもな物”はごく一部で、むしろ殆ど見当たらない。「……無いわ」 

  • 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!   【第76話】華への告白・後編

    「どうしたの?さっきから」 一歩だけ彼よりも前に進んでいた華が、後ろを振り返る。 もう空には欠けた月が昇っていて、それを背にしたカシュの姿にちょっと胸の奥がゾクッと震えた。表情はとても真剣で、何度も口を開いては閉じるのを繰り返し、何かを迷っているみたいな雰囲気だ。「……言いたいことは、ハッキリ言って欲しいわ」「そうですよね、うん。ごめんなさい」 催促するみたいな言葉に対してカシュは謝ると、一度深く息を吸い、今度はそれをゆっくりと吐き出す。数回同じ様に深呼吸を繰り返したかと思うと、彼は改まった顔になりながら、自由になっていた方の手でそっと華の頬に触れ、少しだけ悲しげな笑みを浮かべた。「だって、華さんは“魔女”だから」「…………はい?」 間の抜けた声が華の口からこぼれ、体が固まる。 不意に二人の間を風が吹き抜け、華がハッと我に返った。(落ち着け、冷静になって考えるのよ。“魔女”に“呪われている”らしいカシュが、こんな嘘を言うわけがないんだもの。……でも、冗談くらいならあり得る?——いや、無いわね、無い無い。こんな事言ったって、面白くもなんともないもの)「えっと、私は……“魔女”、なの?」 「はい、そうですよ。華さんは、ボク達を呪った“ハンナ・アダムス”の末裔であり、現存する数少ないであろう“本物の魔女”の一人です」 こくっと頷くカシュの口から、図書館館長である本多さんからも聞いた名前が出てきた事で、この話は冗談ですら無いのだと華は確信した。 よくよく考えれば図書館に居た時点できちんと受け止めるべき話だったではないかと、今更気が付く。『魔女の遺産を受け取る』『魔女の子孫だ』と散々言われていたのに、いくら現実味の無い話だったとはいえ、どうしてあの時イコールで『自分も魔女なのか』と、きちんと受け止めなかったのだろうか?——と、華は思った。「……あの、でもね、カシュ」 「はい」 「“魔女”って……確か、貴方達の……」「“天敵”ですね。でも好きになってしまったものは、もうどうしようもないんで」 華の手を握るカシュの力がギュッと強くなる。彼の表情はどこか少し悲しげなままで、割り切ったつもりでいた気持ちが、まだ所詮は強がりでしかなかった事を物語っている。華が『魔女である』という事実から意識を散らしている間ならまだほとんど平気だったが、『魔女

  • 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!   【第75話】華への告白・前編

     ウルカと瀬田が喫茶店でお互いの事情を確認し合っていた、その時。 華は“青年の姿”をしたカシュを前にして固まっていた。「……誰、かしら?」 華の仕事が終わるのを校内のカフェで待っていたものの、その間に営業時間が終わってしまい、結局は店の前でじっと忠犬の様に愛しい人のお迎えを待っていたカシュを見た華の第一声が、コレだった。「『誰?』って……健気に、華さんの仕事終わりを待っていたボクに対して、それは流石に失礼じゃないですか?」 スラッと背の高い、スーツ姿のカシュが拗ねた顔をする。見覚えはあれども姿形が違うため確信を持てなかったのだが、彼の表情を見て、やっと華は『この人はカシュなのね』と思った。「だって、いつもと全然違うんだもの。仕方ないでしょう?でも……ごめんなさい、失礼な言い方だったわ」 反省し、華がカシュへ謝罪を伝える。常に気高い雰囲気を持つ華がしゅんっと凹んだ様子になった姿を見て、カシュは胸の奥が喜びからギュゥと苦しくなった。「いいですよ、ちゃんと迎えに来てくれましたし。——あぁ、でもそうだな、頰でもいいんで、軽くキスをしながら『ごめんなさい。貴方が好きよ、お詫びに結婚しましょうか』なんて言ってもらえたら、とっても嬉しいです」 そう言って、カシュが自身の頬を指で軽くトントンッと叩く。すると華は「すぐ調子に乗って、悪い子ねぇ」と言いながら、彼の足を強めに踏み付けた。「痛い、痛いです華さん!」 「自業自得よ!」 全く……と呆れ顔をする華に対し、カシュがクスッと笑みをこぼす。ほんの数時間の短い別れでしかなかったのに、やっと好きな人の側に戻れた事が嬉しくて堪らなかった。「じゃあ、一緒に帰りましょうか」 「えぇ、そうね。そのために待たせてしまったのだし。それに、その姿なら、誰も貴方を“転入生のカシュ”だなんて思わないでしょう。だけど……貴方って、そんな姿にも……その、なれるのね」 視線をスッと彼から逸らし、華が先に帰路に向かって歩みを進める。 自分よりも高い身長、細身なのにスーツの上からでもわかるスタイルのよい身体、サラサラとした金髪に、切れ長でシトリンっぽい色をした瞳の好青年に変化したカシュの姿は、正直、彼を子供扱いしている華から見てもかなりの好印象だった。(この姿で、ベランダにカシュが現れていたら、あのまま流されていたかもしれないわ

  • 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!   【第74話】言の葉⑤(ウルカ・談)

    「ロリコンは、実年齢と外見年齢が同じ、“少女”が好きな事を指すだろう?」 「まぁ、はい……」 「俺は、見た目は幼ければ幼い程に嬉しいが、実年齢は十八歳以上じゃないとダメだ。そういった“合法ロリ”が好きなのと、“ロリコン”は完全に非なるものだ。いずれは合法幼妻を迎え入れたいとなると、やはり年齢は重要だし、何よりあまりに幼いと話していてもつまらない。セフレと違って、嫁は『抱ければそれでいい』という対象ではないだろう?だからその辺りが非常に重要だ。その点ウルカは、見た目は自在に変えられるし、年上だから話に詰まる事もないだろうと思うと、それだけで興奮してくるな」 ペラペラと熱く語り、眼鏡の奥に瞳がキラッと輝いた気がする。(……あれ?もしかして浩二さんって、真面目で誠実そうな見た目と違って、ちょっと変わった思考をする人なのだろうか)「じゃ、じゃあ、えっと、もう一つ訊いても?」 「何だ?いい機会だ、なんでも答えようじゃないか」 「好きな男性のタイプは?」「んなもんあるか」 こちらも即答だった。不快感マックスといった感じから、本心なのだとすぐにわかる。“ロリっぽい女性”が好きなように、ショタもOKとかではなくってちょっと嬉しい。まぁ……もし合法ショタコン要素まで彼が持っていたとしたら、自分の姿を変えてでも対応しましたけど。「でも、じゃあ……水谷さんの件は?ワタシとしては、早々に別れていただけると嬉しいというか、別れてくれないと心境的にかなり嫌なのです、けども」 ちょっと言い難かったが、ちゃんと伝える。この先円満に夫婦関係を続けていくには重要な事だからだ。「ちょっと待ってくれ。別れるも何も、アイツと俺が付き合っているワケがないだろうが」 浩二さんが苦虫でも噛み潰したみたいに渋い顔をする。何故自信を持ってそう言い切れるのか、そっちの方がワタシからしてみれば不思議でならない。それに、ワタシと同様に水谷さんがそうは思っていない以上、このまま彼への説得を続けねば。「いいえ、付き合っています。だって浩二さんは彼に『好きだ』と言われて『俺もだ』と返したじゃないですか。しかも二回もです。ワタシには、ワタシには……一回も、言ってくれていないのに」 拗ねた顔をすると、頬を優しく撫でてくれた。「……それは、本当にすまなかった。あー……でも、その言葉をお前に言うのは、ち

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status