Masuk「そう言えば、影山さん幽霊の彼氏がいるって言ってたね…。きっとボクみたいなことだよね?」 「本当のことを話してるとしたら、そういうことだろうな。こんな近くで、幽霊と付き合ってるゲイが2人いるって相当な確率だよなー」 「ボク、少し話を聞いてみたいかも…」 どうしても『境界が曖昧』という言葉が引っ掛かっている。どういうことなのか、幽霊にも実は色んなタイプがあって、ボクには当てはまらないかもしれないし…。何か共通点があれば、少しでもいい方向に出来るんじゃないかとか、あれから気付くとずっとモヤモヤしている。 「今度彼氏と来いって言ってみるか?それか、オレたちが出向いてもいいよな」 「幽霊の彼がボクみたく外へ出れるのかもわからないしね」 「場合によってはダブルデートもあるな」 「ホームパーティだって出来るかも」 「秘密を共有出来るヤツがいるのは良いかもしれないな。影山くんにLINEしとこ!」 そう言い終わる前にもうLINEを開いていた。 ボクはいい案かもしれないと思いながらも、知らなくて良いこともあるかもしれないなんて過ぎってしまう。 「トラここ座れよ」 ボンポンと膝上を叩いた。 「い、いくらボクが見えないからって、ドキドキしちゃうな」 とか言いつつ、ちゃっかり智也くんの膝上に跨って座り、腕を首に回した。 夜のカフェは人はまばらで、ボクたちのソファー席は目立つような場所ではなかった。 ボクはキョロキョロと見回して口づけした。 「膝の上に座れとは言ったけど、トラちゃん公共の場で大胆だな〜」
「オレからしたら、トラがもし生きていて、みんなの目に映っていたとしたら心配だったな。モテるのは確実だと思うからな」 「んー…、でもボク生きてる時モテた覚えないよ。真面目で目立たないタイプだったし」 「オマエはたぶん、周りからしたら近寄り難かったタイプだぜ。遠くからひっそり思いを寄せられるタイプだな」 「でも、智也くんとはあっという間に仲良くなれたよ」 「オマエそれは、出会いが出会いだからな!特殊すぎるだろっ」 「ふふふふっ、そうだね、ボク幽霊じゃなかったらあんなことにはならなかったと思うよ」 「トラが幽霊で良かったと思うぜ。幽霊だったから出逢えたんだ」 「ボクが生きていたら、智也くんと再開することはやっぱり出来なかったのかな…」 「タラレバは分からんが、幽霊のトラと出逢うより難しかったのかもな!どんな確率か誰かに計算して欲しいわ!アッハハ」 「やっぱりそこは、運命的な確率なんだと思うよ」 「結局そこに行き着くな」 智也くんはコーヒーカップを顔に寄せ目を瞑ったと思ったら、ボクにキスをした。 「キスしてるの隠さなくても平気じゃないの?」 「バッカ、オマエがこの前、オレのキス顔はボクのものだって言ったんだろ!」 「へへ、うん…、ボクだけのだね」 ボクは智也くんに寄り掛かって手を繋いだ。 ただ一瞬、ボクの手が消えていたように思えて怖くなった。でも、気のせいかもしれない。 今は、しっかり手を繋いでいる。大丈夫だ。
「トラごめんな。トラに席を立たせちまった。こんな健全なカフェで、あそこまで図々しいヤツ初めてだった。ちょっと隙があったな」 「……ううん、あれは仕方ないよ。積極的すぎ……」 ボクの存在なんて誰にも見えていない……。人間ばかりの場所に出るとやはり痛感する時がある。 今だって、ボクがちゃんと相手から見えていたら智也くんに声なんて掛けなかっただろう。 「智也くんって、モテるよね……。この前は女の人が声掛けて来たよね」 「うーん、モテるのかねぇ?声掛けやすいんかね」 たいして思い当たる節も無いように頭を搔いた。 「やっぱりさ、カッコイイもんな智也くんは……。きっと今までもモテてきたんだろうな」 溜息が出てしまった。 「もしかしたらモテたかのかもしれないが、オレ的には不一致だったからな。そういや、高校の寮では1回ヤバかった。夜中、違和感に目が覚めたら、オレの上に跨ってるヤツがいて、危うく童貞奪われるとこだった」 「えええーっ!そんな人がいたの!?」 「そいつは一番ヤバいヤツだったけど、他のヤツで付き合ってとか、タチして欲しいとか何人かに言われたことあるね。全部断わった。オレはネコ希望だったからな」 「ある意味男らしいくらいにブレなかったんだね」 「確かに」 「…ちょっと心配になるな…。ボクが一緒じゃない時もあんな風に声掛けられたりするのは…」 優しくボクの手の甲に手を乗せた。 「オレ
ボクは初デートから智也くんと近所へ買い物や出掛けたりするようになった。楽しいことが沢山増えていくこととは別に、最近気付いてしまったことがある。 今は一緒にカフェに来ていた。 夜に似合う落とした暖かみのある照明に、リラックス感ある二人掛けソファーに深く座って、智也くんは白いカップに入ったコーヒーをゆっくり口に運んだ。 こういう場所でボクは飲み物も食べ物も頼まないことにした。ボクが口にして、周りからどう見えるのか分からないからだ。気味悪く思われることもあるのかもしれないし、もしかしたら智也くんがおかしい人と思われてしまっても困ると思った。 智也くんも気を使ってくれてか、コーヒー一杯だけにしたり、帰りがてらボクの分をテイクアウトしてくれたりする。 こういうお店に2人で入ってみたいと言ってるのは大抵はボクだった。デートらしい場所に憧れがあったんだと思う。 でもたまに、今起こっているようなことがある。 「あのぅ、お一人ですよね…。僕と少しお話ししませんか?」 小柄で可愛らしい男の人が智也くんに話しかけ、返事も待たずに智也くんの隣に座った。ボクの上に座られそうになってボクは思わず立ち上がった。 その人は間髪入れずに話を続けた。 「この前もこのお店で見かけて、今日またお見かけしてやっぱり、どうしてもお友達になりたくて…」 そう言って、智也くんの手に触れようとした。 智也くんはさっと手をどけ、小さな声だが、威圧した低い声を出した。 「ナンパ?セクハラ?どっちにしろ興味無いから他あたって。気分悪いわ」 その男の人は青い
「気持ちいいね、智也…。でも、まだ終わらせないよ。そんな顔して…智也の中でイクからね…」 そう言って、イったばかりの智也を容赦なく突いた。 「ッッ!!トラッ!ダメ!中イッてるから、あああっっ!こんなのムリっ!ッッ!おかしくなるッッ!はぁーーんッッ…ンッッ!!」 「あっあっ、智也、ボクでおかしくなって…、壊れていいんだよ…」 ボクはそのまま智也の中で強く脈打ち、昂《たかぶ》りの全てを最奥に放った。 痙攣させた智也の身体にキスを何度も落とし、お互いに荒い息遣いのまま深く唇を重ねては、甘い余韻に浸った──。 その後、眠そうな智也くんを腕枕しながらゆっくり髪を撫でる。 「…智也くん気絶しなかったね、物足りなかった…?」 「バッカ、アレで物足りないとかヤバいだろ!それに、今までも1回で気絶した覚えは無いからな」 「智也くん、最近どんどん感度が上がってるから、きっともうすぐ1回でも気を失っちゃうかもね。…それにしてもさ、ボクに抱かれてる時の智也くん、仕草も喘ぎ声も何であんなにいやらしくてカワイイの!」 「ははっ、カワイイかは知らないが、そりゃ好きな男に抱かれてんだからさ、そうもなるし、そう見えるんじゃねぇの」 智也くんは頬を赤らめてボソボソと話した。 「赤くなっちゃってかわいい!また抱きたくなっちゃうな…」 そっと肩をなぞるとピクリと小さく跳ねたのが分かった。 「少し休んでからならな」 「そしたらさ、昨日届いた『インキュバス』の格好して!絶対似合うから!淫紋のタトゥーシールと、シッポも付いててね、シッポはオシリに刺すんだよ!」 「今日のトラの目的はインキュバスだったな?」 「目的じゃないよー。だって、猫ちゃんのコスプレもあるし、逆バニーもあるし、メイドさんに、チャイナドレスに、他も選べるよ!」 「お、オマエいつの間にそんなに買い込んでんだ」 「智也くんが着てるの想像したら止まらなくなっちゃった!へへへっ」 「『へへへっっ』じゃないわ!」 「じゃ、先ずはインキュバスからね!」 「順番あるんか!?」 「インキュバスの次は、メイドさんかなぁ…!今夜は耐久戦だ!」 智也くんはやれやれなんて顔をしながらも、楽しそうに笑ってくれる。 運命みたいに出逢ってしまったボクたちは、ただ笑って幸せであってもいいよね? そう智也
***** お互いの体温を確認するみたいに素肌を重ね、触れていく。 ただ優しさだけで出来てるみたいに求め合い、唇を重ねる。 そしてボクは、智也くんの筋肉質な胸や腹に、数え切れないほどのキスを落とす。 「トラ、オレはガラス細工なんかじゃないぜ。オマエがどんな風に抱こうが、オレは受け止めるからな」 「…智也くん…」 ボクはその言葉に、智也くんを強く抱き締めた。 身体の芯がじわりと熱を帯び、抑えていたものがほどけるような感覚がした。 「…どんなボクでもいいんだね…」 智也くんの顎を指先でゆっくりと上向きにした。 急に鋭くなったボクの眼光に、智也くんは甘く蕩けるような目を向けた。 「すぐそんな顔しちゃうんだね、智也可愛い…。舌出してごらん」 智也は素直に舌を差し出す。絡めて吸ってやるだけで、身体が小さく震えた。 そのまま口の中に数本指先を突っ込むと、必死に舌を絡めてくる。 唇を首筋から胸へと這わせ、乳首を甘噛みしては舌先でなぞるたび、切ない声を零す。 苦しさも痛みも快感も、全てを拾う智也が愛おしい。 ボクは夢中でその肌に、赤紫の痕を刻んでいく。 「…ボクだけの智也…」 「…全てオマエだけのために、オレは存在してるから…」 その言葉にもう止まれなかった。 気付けば、智也の奥まで深く求めていた。 「…トラっ、ああっんっっ、トラ…」 ボクが奥を突く度に顔を歪ませ小刻みに震えながら悶えている。 「…あっあっ、ボクの仔猫ちゃん、こんなに震えて…ほんと分かりやすい子…。もっとぐちゃぐちゃにしてあげるよ…」 智也の両手を押さえつけ、激しさを増すと、声にならない呻きが漏れる。 「……ボクでイク顔、ちゃんと全部見てあげる」 「ンッンッッ!トラ、イク、イッちゃうッッ!!」 「教えてくれて偉いね。ほら、いいよ、イケ!」 強く押し込むと、智也の全身に力がぐっと入った。 「あっあっ!ンッンッンッッ…」 智也は白濁を吐き出し、腰を揺らしたまま快感を何度も反芻するみたいに震えている。