All Chapters of 植物人間だった夫がなんと新婚の夜に目を開けた: Chapter 1111

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第1111話

奏がふと思い出したように言った。「さっき、君のスマホに新しいメッセージが来てたよ」少し間を置き、「でも、たぶん迷惑メールだと思うけど」と呟いた。彼女の体がピンとこわばり、不安そうに彼を見つめる。「見たの?」奏が首を横に振る。「いや。君、見せたくないって言ってただろ?」彼女は笑ってうなずいた。「ほんと素直ね。別に見せちゃいけないってわけじゃないのよ。あなたが見たいなら見てもいいし、私怒ったりしないから」そう口では言いながらも、とわこは手でバッグのファスナーをきゅっと閉める。その仕草は、見せる気がないのを如実に物語っていた。「見てみなくていいの?」「あなたが迷惑メールって言うなら、たぶんそうだと思うわ」彼の腕に手をからませながらとわこは微笑む。「家を買ってから、情報が流出したみたいで、やたら『家を売らないか』とか、銀行からローン勧誘の電話が来るの」「俺もたまにあるな」「そう聞くと、ちょっと安心した」彼女は胸をなで下ろす。「俺の場合は、銀行の支店長が『お祝い申し上げます』って電話してくる程度だけどな」とわこは言葉を失った。これで楽しく会話を続けろというのか。ホテルを出た二人は、そのまま家電量販店へ直行し、カメラ選びを始めた。奏の物選びは単純で、「高いもの=良いもの」という信念。店に入るなり、店員に「一番高いカメラを出してくれ」と頼む。その間、とわこはバッグからスマホをそっと取り出し、届いたメッセージを開く。真からの返信だった。彼女はこう尋ねていた。「結菜はまだ生きているの?」返ってきたのは「君たち、探しに来たのか?」という、まるで核心を避けるような言葉。眉をひそめ、昂ぶる感情を抑えながら打ち込む。「新婚旅行で来てるの。奏はあなたを探したがってるけど、もし会って結菜の死が確定したら......と思うと怖いみたい。彼は結菜は生きてるって信じてるの。実の妹じゃないと分かっても、その気持ちは変わらない」送信した後、さらに追い打ちをかけるように送る。「真、教えて。結菜は本当に生きてるの?あなたと会ったことは奏に話してない。信じてくれるわよね?」「とわこ、こっち向いて」奏がカメラを構えて呼びかける。彼女はスマホを置き、ぱっと笑顔を作ってレンズの方を見た。シャッター音の後、彼の元へ駆け寄り、写真を確認す
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